2022.09.29
不動産の売却
不動産仲介会社が行う無料査定には実はデメリットも!内容を知ったうえで無料査定を利用しよう!
不動産の査定には、有料査定と無料査定があります。
みなさんが利用されているのは、ほとんど無料の査定だと思います。
無料査定は不動産仲介会社が行っている査定で、有料査定は不動産鑑定士が行っている査定です。
実は無料査定にはデメリットがあり、デメリットを知ったうえで利用しなければなりません。
本記事では、無料査定と有料査定の違い、無料査定のデメリットなどを紹介します。
今回の記事が不動産仲介会社の無料査定を受けようと検討されている人の参考になれば幸いです。
無料査定と有料査定の違い
無料査定は主に不動産仲介会社が行っており、有料査定は主に不動産鑑定士が行っています。
それぞれに利用の方法が異なり、依頼する状況も少し異なります。
無料査定を利用する場合、不動産売却をするための売り出し価格を決めるという意味合いが強くあります。
不動産の売り出しを査定してくれた不動産仲介会社に依頼するのが基本の流れのため、不動産仲介会社は査定を無料で行うケースがほとんどです。
また、無料査定には簡易査定と訪問査定という2種類の方法が用いられます。
簡易査定とは査定地を確認することなく、法的な内容と査定地の数字(面積や築年数)などだけで簡易的に査定をする方法です。
現地を見に行かないためすぐに査定価格が算出できるものの、査定価格には幅がでてしまいます。
訪問査定とは、簡易査定の内容に加え、査定地に査定人が足を運び、現地の内容まで加味した査定価格を算出する査定方法です。
無料査定のほとんどが訪問査定方式を取っており、簡易査定方式を取る場合は査定を依頼する人が簡易査定方式で依頼しないかぎりあまり行いません。
一方、有料査定は不動産の現在の正確な価値を算出するときや、不動産仲介会社では算出が難しい共有持分の価値や、底地の価値などを出すときに利用します。不動産鑑定士は、不動産鑑定後に不動産売却などの手伝いをしてくれるわけではないため、鑑定だけで仕事が完結します。つまり、不動産鑑定だけで費用が発生するということになります。
不動産鑑定は鑑定する不動産によって費用が異なるため、有料査定を依頼するときはあらかじめ不動産鑑定士より見積もりを取得しておきましょう。
無料査定 (不動産仲介会社) |
有料査定・不動産鑑定 (不動産鑑定士) |
|
---|---|---|
査定の流れ | 不動産仲介会社に査定を依頼する | 不動産鑑定士事務所に依頼する |
査定で分かる価額 | 売却価格の相場 | 資産価値・不動産の鑑定額 |
金額 | 無料 | 15万円~30万円程度 (物件などにより異なる) |
査定する人 | 不動産仲介会社の担当者 | 不動産鑑定士 |
用途 | 売却価格や物件の相場を知りたいとき 不動産売却をするとき |
相続や不動産を担保にする時などの価額が知りたいとき 不動産仲介会社では算出できない共有持分の金額、 底地の価格などを知りたいとき |
無料査定のメリットとデメリット
無料査定にはメリットとデメリットが存在します。
無料査定を依頼するときには、メリットとデメリットがあることを知ったうえで依頼をするようにしましょう。
無料査定のメリット
無料査定のメリットは、次のとおりです。
●査定に費用がかからない
●査定書の作成を依頼してもほとんどの不動産仲介会社が無料で作成してくれる
●無料査定の後、不動産売却活動まで行ってくれる
無料査定のメリットは、無料で不動産の査定が受けられることです。
不動産の査定は専門性が高く、本来は無料で行ってもらえるようなことではありません。
しかし、無料査定を行うと不動産売却もセットになる可能性があるため、不動産売却で利益が出れば査定で料金をもらう必要がなくなるということです。
もちろん、無料査定だからと言って精度が低いわけではなく、不動産仲介会社が無料査定で作成した査定書は裁判所など公的な機関でも利用することができます。
ただし、後述しますが、不動産仲介会社が作成する査定書には不動産仲介会社の意思が入り込むことがあるため、有料査定の鑑定書にくらべ公平性が低いケースがあります。
無料査定のデメリット
無料査定のデメリットは、次のとおりです。
●査定担当をする人により査定価格の正確性にバラツキがある
●複数の不動産仲介会社に査定依頼をすると査定価格に差が出る
無料査定のデメリットは、査定に不動産仲介会社の意思が入り込むことがあることです。
不動産仲介会社は無料査定をし、不動産の売却依頼を受けるのが仕事です。
そのため、正確に算出した査定価格に、不動産仲介会社が仕事を受けたいという理由で査定価格が故意に上乗せされてしまうことがあります。
このようなことは意外と起きやすく、複数社の不動産仲介会社に無料査定を依頼すると査定価格がバラバラになってしまっているということも起きます。
また、査定をする担当者の力量もピンキリな部分があり、程度が低い担当者だと査定価格に影響するような建物の状態などを見落とすことすらあります。
査定価格に影響するような事項を見落としてしまうと、正確な査定価格を算出することができなくなります。
そのような間違った価格が査定書として残ってしまうと、不動産売却や裁判などに影響を与えてしまうこともあります。
有料査定のメリットとデメリット
有料査定を利用する機会はあまりありませんが、離婚や訴訟、相続などの際に、不動産価値を詳細な資料に残しておく必要がある場合に利用されます。
また、特殊な不動産である共有持分や底地など算出が難しいときに有料査定を利用します。
このような有料査定にもメリットやデメリットがあるため、メリットやデメリットを把握し依頼をすると良いでしょう。
有料査定のメリット
有料査定のメリットは、次のとおりです。
●現在の不動産価値がわかる
●裁判など公的な場でも有料査定の鑑定書を利用できる
●特殊な不動産の価格も算出できる
有料査定を利用するメリットは、算出された金額の正確性が高いことです。
無料査定の査定書も公的機関で利用することはできますが、不動産仲介会社の意思が入り込んでいたり担当者の質で査定価格に違いが出てきてしまいます。
しかし、有料査定の場合、あくまで不動産価格を算出することが目的のため、査定価格に余計な意思が入り込まず正確性の高い査定価格が算出されます。
また、不動産鑑定士は不動産価値を算出するプロであるため、担当者ごとの力量に差が付きづらく査定価格に幅が出にくくなります。
そのため、正確性の高い査定価格を算出する場合には有料査定を依頼するほうが良いでしょう。
有料査定のデメリット
有料査定のデメリットは、次のとおりです。
●有料査定は不動産の価値を算出しますが、実勢価格ではないため算出された価格で売却できるとは限らない
●有料査定(鑑定)するのに費用がかかる
有料査定を利用するデメリットは、あくまで不動産価値を算出するという面が強く、売却できる金額と差が出てくることがあることです。
有料査定は正確性の高い査定価格を算出することができますが、実際に不動産が売買されている金額を算出しているわけではありません。
あくまで不動産の価値がどのくらいなのかという数字です。
しかし、不動産の売買金額は不動産価値に購入する人の需要と供給のバランスなどを加味する必要があります。
そのため、不動産の本当の価値よりも高く売れる場合や、低く売れる場合が出てきてしまいます。
このようなことがあるため、有料査定は不動産売買を目的として利用するのではなく、不動産の価値を証明したいという目的に利用するのが良いでしょう。
無料査定を受けるときの注意点
査定を受けるときには、ほとんどの人が無料査定を利用します。
そして、無料査定で算出された査定価格は、不動産売却に大きく影響します。
そのため、無料査定を受けるときの注意点を知っておく必要があります。
ここからは、無料査定を受けるときの注意点を紹介していきます。
不動産査定に必要な書類を準備しておく
無料査定を受ける場合の最終目標は、不動産を好条件で売却することがほとんどです。
正確な査定価格を算出してもらうのが、不動産を好条件で売却する1つの方法です。
そして、正確な査定価格を算出してもらうには、査定に必要な書類を不動産仲介会社に提出することが重要になります。
不動産仲介会社が査定時に確認する書類は、次のとおりです。
●不動産を購入したときの不動産売買契約書と重要事項説明書
●確定測量図(土地・一戸建ての場合)
●建築図面一式(一戸建て・マンションの場合)
●建築確認と検査済証(一戸建て・マンションの場合)
●マンション管理関係書類(管理規約や使用細則など)
●リフォームの履歴がある場合はわかる書類(一戸建て・マンションの場合)
●隣地との取り決めなどがある場合それがわかる書類
あらかじめ査定価格を予想できるようにしておく
不動産仲介会社から提示された査定価格が正しくても、査定価格が正しいと判断できるようにしておかないといけません。
仮に、実際の相場と違う査定価格を提示された場合、査定価格がおかしいと気付くことができません。
実際の査定価格を調べる方法としては、次のような方法があります。
●不動産売却物件が掲載されているサイトで実際の売却価格を確認する
●レインズマーケットインフォメーションや土地総合情報システムで過去に成約した不動産の情報を確認する
レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通省が指定する機関が運営するサイトで、土地総合情報システムとは国土交通省が運営するサイトです。
どちらも過去に成約した不動産の情報が掲載されているため、内容を確認することによりおおよその査定額がわかってきます。
査定担当者の力量を見極める
査定は査定を実際に行う担当者の力量に左右されてしまいます。
そのため、査定担当者の力量を見極める必要があります。
査定担当者の力量は、会社の規模で比例するわけではありません。
大手不動産仲介会社の場合、査定担当者の質は安定する傾向にありますが、必ずしも質が高いとは言い切れません。
逆に、小さな街の不動産仲介会社に所属している人でも、質の高い査定をする担当者は多くいます。
査定担当者の力量は実際に会ってみないとわかりませんが、面談したときに次のような項目を確認すると良いでしょう。
●受け答えができやり取りに不足がおきなさそうかどうか
●不動産の知識がありさまざまなことを知っているか
●近隣の不動産情報に詳しいかどうか
●不動産に関係する税金のことまでアドバイスしてくれるかどうか
押しが強いかどうかについては、不動産売却で良い方向に出ることもあるため、一概に良いか悪いかは判断しづらい部分です。
あくまで正確な知識、幅広い知識があるかどうかを確認することが大切です。
実勢相場とかけ離れた査定価格で売り出したときのデメリットを知っておく
不動産には相場があり、相場からかけ離れた金額で売りに出してもなかなか売却することができません。
売却に時間がかかると不動産購入検討者から、売却できない不動産というレッテルを貼られ大幅な値段交渉を受ける確率が上がってしまいます。
大幅な値段交渉を受けた結果、相場より安く売却することになったということも起きてしまいます。
不動産売却を好条件で行うコツは、相場より少しだけ高い金額で値段交渉をされずに売却してしまうことです。
売り出しを高く設定してしまうのは、上手く売却できなくなってしまう悪手です。
まとめ
不動産査定には無料査定と有料査定があります。
無料査定は不動産を売却するときに実勢相場を知るために利用し、有料査定は不動産の正確な価値を証拠として残しておくときに利用します。それぞれの査定にはメリットやデメリットがあるため、利用する場合は、それぞれのメリットやデメリットを把握しておく必要があります。
無料査定の場合は査定の目的が最終的に不動産を好条件で売却することにあります。
そのため、無料査定のデメリットを知っておき、査定を受けるときには注意して進めていく必要があります。
不動産仲介会社の査定価格を鵜呑みにしてしまうと、実勢相場からかけ離れた査定価格で不動産を売りに出すことになってしまいます。このようなことになるとなかなか売却できない、大幅な値段交渉を買主から受けてしまうなどが起きかねません。
不動産売却をするときには、適正な査定価格で売却することが重要となります。