2023.05.13
不動産の購入
住宅の購入時には補助金がもらえる!条件や注意点を解説
住宅を購入する際の費用は、補助金制度を活用することで安く抑えられる可能性があります。100万円以上の補助金を受けられる制度もあるため、活用したいものです。
この記事では、以下について解説します。
・国や都道府県が運営する住宅補助金制度
・補助金制度でよく出てくる用語(ZEH・⾧期優良住宅など)
・補助金制度を利用する際に注意すべきこと
これから住宅を購入する人は、ぜひ参考にしてください。
国が運営する住宅補助金制度
この章では、国が運営している住宅補助金制度として、以下の事業を紹介します。
・次世代ZEH+実証事業
・こどもエコすまい支援事業
・地域型住宅グリーン化事業
・LCCM住宅整備推進事業
「ZEH」や「⾧期優良住宅」など、補助金制度でよく出てくる用語についても、あわせて理解していきましょう。なお記載している情報は、2023年5月時点で公表されているものです。
次世代ZEH+実証事業
次世代ZEH+(ゼッチプラス)実証事業とは、一定の条件を満たした新築住宅を建築(または購入)する人に対して、補助金が支給される事業のことです。経済産業省の支援により「一般社団法人 環境共創イニシアチブ」が運営しています。
ZEHについては、このあと解説します。
次世代ZEH+実証事業における補助金は、1住宅あたり100万円です。補助金を受けるためには、ZEH+の基準を満たしたうえで、指定の設備を1つ以上導入する必要があります。
指定の設備とは、以下5つのことです。
・蓄電システム
・充電設備(または充放電設備)
・燃料電池
・太陽熱利用温水システム
・太陽光発電システム(10KW以上)
上記のほかにも、追加で導入することで補助金が加算される設備もあります。
詳しくは、環境共創イニシアチブのホームページにて確認が可能です。
ZEHとは
ZEHとは、消費するエネルギーよりも創り出すエネルギーのほうが多くなる住宅のことです。
「消費エネルギー < 創造エネルギー」は、以下の方法で実現します。
・住宅の断熱性を高めて、冷暖房設備を使うことによるエネルギー消費を減らす
・太陽光発電などを活用して、エネルギーを創り出す
ZEHは「net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」を略したものです。
ZEHの種類
ZEHには以下のように、いくつか種類があります。
・ZEH+:ZEHよりも性能が高い住宅のこと
・Nearly ZEH:創り出すエネルギーを消費するエネルギーに近づけた住宅のこと
・ZEH Oriented:狭い土地に建つ住宅において、断熱や省エネルギーの性能が高い住宅のこと
「Nearly ZEH」と「ZEH Oriented」は、創り出すエネルギーよりも消費エネルギーのほうが多いながら、省エネルギーに努めている住宅ということです。土地が狭く、大きな太陽光発電パネルが付けられないような住宅では、この2つが採用される傾向にあります。
ZEHのメリット
ZEHには、以下のようなメリットがあります。
・断熱性が高いため、光熱費が安くなる
・蓄電システムにより、停電しても電気を使える
・部屋ごとの温度差が少ないため、ヒートショックによる健康被害が減る
・夏は涼しく冬は温かいため、快適な生活を送れる
ZEHは、省エネルギー基準よりも厳しい「新しい省エネの形」として、国が普及に力を入れています。
こどもエコすまい支援事業
こどもエコすまい支援事業とは、ZEH基準を満たす新築住宅に対して補助金が支給される事業のことです。国土交通省が運営しており、主に子育て中のファミリーや、若い夫婦の世帯を対象としています。住宅の省エネルギー化を目的としており、新築住宅の購入や建築だけでなく、リフォームにも利用可能です。
補助金の上限額は、1住宅あたり100万円です。
補助金を受けるためには、以下どちらかの条件を満たしたうえで、こどもエコすまい支援事業者と売買契約(または工事請負契約)を結ぶ必要があります。
・2004年4月2日以降に生まれた子供がいる世帯
・夫婦のどちらかが1982年4月2日以降に生まれた世帯
また購入する住宅にも、以下のような補助金支給の条件があります。
・ZEH基準を満たす省エネルギー性能を証明できること
・床面積が50㎡以上であること
・土砂災害警戒区域に建っていないこと
こどもエコすまい支援事業に申請する人は、住宅を購入する人ではありません。住宅を建てたり販売したりする業者が、こどもエコすまい支援事業者に登録し、申請します。
こどもエコすまい支援事業のより詳しい利用条件や、申請方法については、こどもエコすまい支援事業の専用サイトから確認してください。
地域型住宅グリーン化事業
地域型住宅グリーン化事業とは、省エネルギー性能などが高い木造住宅を建てた人に補助金が支給される、国土交通省による事業です。
以下のような住宅が補助金支給の対象になります。
・認定⾧期優良住宅
・認定低炭素住宅
・ZEH
・Nearly ZEH
・ZEH Oriented
さらに地域で生産された建材を使ったり、地域の伝統的な建築技術を活用したりすると、補助金が上乗せされます。補助金の上限額は、1住宅あたり140万円です。
詳しくは、国土交通省のホームページに記載してあります。
⾧期優良住宅とは
長期優良住宅とは「良い状態で長く使い続けるための対策」がおこなわれている住宅のことです。
以下のような性能が高い住宅とも言えます。
・省エネルギー性能
・バリアフリー性能
・耐震性能
・メンテナンス性能(維持管理のしやすさ)
・劣化対策
長期優良住宅の認定を受けるためには、認定基準を満たしたうえで維持保全計画書を作成し、都道府県に申請する必要があります。さらに定期的な点検や、修繕もおこなわなければなりません。
低炭素住宅とは
低炭素住宅とは「二酸化炭素の排出を抑えるための対策」がおこなわれている住宅のことです。
低炭素住宅の認定を受けるためには、登録住宅性能評価機関の審査で交付される適合証とあわせて、都道府県に申請する必要があります。
認定における主な基準は、以下のとおりです。
・省エネ基準よりも、エネルギー消費量が20%以上低くなること
・創り出すエネルギー量が、消費エネルギー量の50%以上であること
・再生可能エネルギーの設備を取り入れていること
・節水設備を取り入れていること
・エネルギーの使用量がわかるようにしていること
・ヒートアイランド対策(屋上緑化など)をおこなっていること
LCCM住宅整備推進事業
LCCM住宅整備推進事業とは、一戸建てのLCCM住宅を新築した人に補助金が支給される事業のことです。国土交通省による事業で、1住宅あたり最大140万円の補助金が支給されます。
LCCMは「Life Cycle Carbon Minus(ライフ・サイクル・カーボン・マイナス)」を略したものです。
LCCM住宅には、以下のような特徴があります。
・建てるとき・住んでいるとき・廃棄するときに排出される二酸化炭素を減らす取り組みをおこなう
・太陽光発電などでエネルギーを創り出し、二酸化炭素の収支をマイナスにする
LCCM住宅整備推進事業で補助金を受けるための条件は、以下のとおりです。
・再生可能エネルギーを取り入れること
・エネルギー消費量を基準から25%以上減らすこと
・一定以上の断熱性能を満たすこと
ほかにも住宅の品質やエネルギー消費量などにおいて、細かい基準が定められています。詳しくは、LCCM住宅整備推進事業実施支援室のホームページから確認してください。
都道府県が運営する住宅補助金制度
各都道府県が運営している補助金制度もあります。
この章では例として、以下を紹介します。
・東京ゼロエミ住宅の新築に対する助成事業(東京都)
・逗子市再エネ・省エネ・蓄エネ機器導入費補助金(神奈川県)
・住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金(千葉県)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
なお記載している情報は、2023年5月時点で公表されているものです。
東京ゼロエミ住宅の新築に対する助成事業(東京都)
東京ゼロエミ住宅の新築に対する助成事業とは、東京都内に「東京ゼロエミ住宅」を新築した場合に、助成金が支給される事業のことです。
東京ゼロエミ住宅とは、断熱性能や省エネルギー性能が高い設備を取り入れた住宅のことです。東京都が独自に設定しているもので、住む人や環境に優しい住宅を目指しています。
助成される金額は3段階に分けられており、一戸建て住宅の場合は最大210万円が支給されます。住宅における断熱性能や省エネルギー性能が高いほど、支給される額も高くなる仕組みです。
逗子市再エネ・省エネ・蓄エネ機器導入費補助金(神奈川県)
逗子市再エネ・省エネ・蓄エネ機器導入費補助金は、神奈川県逗子市による補助金制度です。逗子市にある住宅に以下のような機器を導入する場合、最大15万円の補助金が支給されます。
・太陽光発電設備
・定置式蓄電池システム
・家庭用燃料電池システム
・HEMS(ヘムス)システム
HEMSシステムとは、家電を一括してコントロールするシステムのことです。家電のエネルギー消費量や稼働状況なども確認できます。「Home Energy Management System(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」を略したものです。
住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金(千葉県)
住宅用設備等脱炭素化促進事業補助金は、千葉県千葉市による補助金制度です。千葉市内の住宅に再生可能エネルギー設備などを取り入れた場合に、補助金が支給されます。
対象となる設備は、以下のとおりです。
・ZEH
・太陽熱利用システム
・家庭用燃料電池システム
・定置用リチウムイオン蓄電システム
補助金の上限は10万円です。
また、すでに建っている住宅に限り、以下の工事にも補助金が出ます。
・窓の断熱改修
・太陽光発電システムの導入
補助金制度を利用する際に注意すべきこと
国や都道府県の住宅補助金制度を利用する際には、以下の3点に注意しましょう。
・申請期間
・利用条件
・確定申告
1つずつ詳しく解説していきます。
申請期間
補助金の申請期間は、事業によって異なります。申請期間中でも、予算の上限に達した場合は受付終了となる可能性があるため、注意が必要です。
また補助金は、住宅を購入する個人ではなく、ハウスメーカーなどの業者が申請するケースもあります。依頼する業者に補助金を申請する資格があるのかについても、確認しておきましょう。
利用条件
補助金制度の利用条件にも注意が必要です。とくに省エネルギー性能に関する制度の場合は「エネルギー消費量をどれだけ減らせるか」など、利用条件が細かく設定されているケースが見られます。
また補助金制度には、併用できるものとできないものがあります。たとえば東京都の「東京ゼロエミ住宅の新築に対する助成事業」と、国が運営する事業との関係は、以下のとおりです。
併用できる | 併用できない |
---|---|
こどもエコすまい支援事業 | 次世代ZEH+実証事業 |
地域型住宅グリーン化事業 | LCCM住宅整備推進事業 |
各事業の公式サイトをよく確認しておきましょう。
確定申告
住宅ローンを利用した場合、確定申告をすることで住宅ローン控除を受けられます。住宅ローン控除とは、所得税から一定の金額が控除される制度のことです。
補助金を受けた場合、確定申告の際に住宅の購入金額から補助金額をマイナスする必要があるため、気を付けましょう。
住宅ローン控除については、以下の記事を参考にしてください。
住宅ローン控除の基本とその計算方法を徹底解説
まとめ【制度を理解できるまで調べることが大切】
住宅を購入する際には、国や都道府県が運営している補助金制度を活用しましょう。補助金によっては、100万円以上もお得になります。
利用条件や申請期間などについては、国土交通省や各補助金制度のサイトに書いてあります。専門用語が多く難しく感じてしまうかもしれませんが、理解できるまで調べることが大切です。
補助金制度を活用し、住宅の購入費用を安く抑えることで、新生活に余裕が生まれます。わからないことや不安なことがあれば、ハウスメーカーなどの業者に相談しましょう。