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2022.09.16

不動産の購入

不動産購入の予算の立て方とは?ライフプランを立てて計画的にマイホームを手に入れよう

不動産購入で失敗しないために、必ず最初にやるべきことが何かご存じでしょうか。

それは「ライフプランを立てる」ことです。

将来どんな生活を送りたいか、どんなイベントが待ち構えているかを想定するだけでなく、そのライフイベントにいくらお金がかかるかを計算します。

特に不動産は人生で一番大きな買い物とも言われるほど、一度に多額の資金が必要になります。それだけでなく、20年30年とかけて住宅ローンの返済をすることになるため、無計画な借り入れを行ってしまうと、生活が苦しくなるだけでなく、マイホームを手放さなくてはいけなくなるリスクすらはらんでいるのです。

本記事ではライフプランの概要と立て方、ライフプランから考える不動産の購入予算の計算方法について解説します。安定した生活を続けていくためにも、正しいお金の考え方を身につけておきましょう。

1.不動産購入の予算決めに必要な「ライフプラン」について知ろう

不動産の購入予算を決めるためには、まずは「ライフプラン」を立てるところからスタートします。そもそもライフプランとは何なのか、どうして立てなくてはいけないかについて知りましょう。

1)ライフプランとは?

「ライフプラン」とは、生涯をとおしてよりよい生活を送れるように計画を立てることを指します。いつ頃子供が欲しいのか、住まいは賃貸にするのかマイホームを購入するのかなど、大きな支出が予想されるイベントをあらかじめ把握しておき、それらにどれくらいの資金が必要になるかを算出して準備しておくことを目的としています。

2)ライフプランを立てるメリット

ライフプランを立てることで得られるメリットとしては、生活にゆとりが出るだけでなく、突然の出費が発生しても慌てなくて済むという点が挙げられます。

特に現代ではライフスタイルが多様化しているのと同時に、雇用環境の変化により収入が不安定になったり、社会保障制度に頼れない状況になってきていたりと、お金に対する不安が増加しています。また、年齢を重ねるにつれて、急な怪我や病気に見舞われる可能性も高まるため、医療費だけでなく予備の生活費も準備しておく必要があるのです。

こうした将来の支出に備えるために必要なのが「ライフプラン」です。将来予測されるライフイベントだけでなく、上記に挙げた「将来の不安」に対しても準備をしておくことで、毎月住宅ローンの支払が加わっても、安定した生活を続けることができるようになります。

3)ライフプランを立てないことによるデメリット

それでは、逆にライフプランを立てずに住宅を購入した場合、どのようなデメリットが考えられるのでしょうか。

マイホームを購入する際に多くの人が「住宅ローン」で住宅購入資金を借り入れ、毎月一定額ずつ返済していく方法を選びます。住宅ローンは借入金額が多いぶん、30年以上という長期にわたって返済を行うことがほとんどですが、その間に収入の変化や支出の増加をきっかけに、返済不能に陥るケースもあるのです。

金融庁が公開しているデータによると、令和2年3月10日から令和3年2月末までの約1年間における、住宅ローンの貸付条件変更の申込件数は40,364件(主要銀行、地方銀行等含む)。年間で4万人もの住宅ローン利用者が、返済期間中の条件変更を金融機関に申し出ているということを考えると、住宅ローンによる破綻も決して他人事ではないということをおわかりいただけるのではないでしょうか。

こうした住宅ローン破綻の原因の一つとして、ライフプランを十分に立てておかなかったことが挙げられます。特に不動産は多額の購入資金が必要になるため、生活費や他の出費についても詳細に把握しておかなくては、毎月の返済が難しくなってしまう可能性も否めません。

住宅ローンの返済ができなくなると、最悪の場合、せっかく手に入れたマイホームを手放さなくてはいけなくなります。そうした事態を招かないためにも、購入する不動産を選び始める前に、まずはライフプランの作成から取り掛かるべきなのです。

(参照:金融庁『金融機関における貸付条件の変更等の状況について』https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/kashitsuke/2103.2.pdf

2.知っておきたい「人生の3大支出」

ライフプランを立てる過程で、特に大きな支出が伴うライフイベントが3つあります。安定した生活を送るためにも把握しておきたい「人生の3大支出」について見ていきましょう。

1)教育資金

子供が生まれる予定のある家庭にとって、どれほどの教育費をかけるか、その教育費をどのように調達するかは大きなテーマともいえます。

文部科学省では「子供の学習費調査」というデータを公表しており、幼稚園3歳から高校3年生までの間、公立に通った場合・私立に通った場合にかかる教育資金の平均を見ることが可能です。

平成30年度のデータによると、幼稚園から高校3年生までの15年間にかかる学習費総額の全国平均は、すべて公立だった場合で541万円、すべて私立の場合で1,830万円となっています。

さらにこれに加えて大学や短期大学の学費や、塾の受講料が必要になる可能性もあるでしょう。特に入学のタイミングにまとまった支出が発生するため、しっかり計画を立てて貯蓄をしておくことが大切です。

(参照:文部科学省『平成30年度子供の学習費調査の結果について』
p.4 https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf

2)老後資金

「老後2,000万円問題」という言葉を多くの人が聞いたことがあるように、退職後にどれくらいの生活費が必要かを把握して対策をしておくことも、ライフプランにおいて非常に重要です。

かつては60歳で定年退職し、退職金と年金で老後を過ごすのが主流でしたが、2013年に「高齢者雇用安定法」が改定されたことにより、2025年4月以降は企業が65歳までの雇用確保をすることが義務化されます。これは定年退職後の年金支給額の減少や、少子高齢化による労働人口の縮小を補うためのもので、今後定年退職年齢を65歳から70歳まで引き上げる政策も進行しています。

こうした制度の改正により、高齢者が働く機会が増える一方で、必ずしも収入が保証されるというものでもありません。高齢になれば30代40代と同じ働きぶりをすることは難しくなるだけでなく、健康状態によっては働くこと自体ができなくなる可能性もあるためです。60歳以降も働ける可能性があることは頭に入れつつ、働けなくても生活に困らないだけの老後資金は確保しておくほうがいいでしょう。

ライフプランを立てるなかで老後資金の目安を把握するには、総務省の統計局が公開しているデータを参照できます。
2021年における1世帯あたり(2人以上)の消費支出は、60~69歳の場合で288,312円、70歳以上の場合で226,383円となっています。
(参照:『家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)家計の概要』Ⅰ 家計収支の概況(二人以上の世帯)p.7 https://www.stat.go.jp/data/kakei/2021np/gaikyo/pdf/gk01.pdf

しかしその一方で、日本年金機構の発表によると、平均的な収入で40年間就業した場合にもらえる年金の額は219,593円です(令和4年度月額)。今後年金の受給額がさらに減少していくと言われているにも関わらず、令和4年の時点ですでに年金だけでは生活できない状態になっているということになります。
(参照:日本年金機構『令和4年4月分からの年金額等について』https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2022/202204/040103.html

住宅ローンには金融機関ごとに、返済期間の上限と年齢制限が設定されています。利用する金融機関にもよりますが、返済期間は多くの場合で30~35年、年齢制限は完済時に80歳以下というのが一般的な条件です。返済期間が長くなるほど毎月の返済金額が少なくなるため、家計への負担も減らせるというメリットがあります。
しかし返済期間が定年退職後も続く場合は、年金のほかに安定した収入がない状態で返済を続けなくてはいけなくなり、老後の生活に困窮するという事態にもなりかねないということは、頭に入れておくべきでしょう。

3)住宅購入資金

人生の3大支出のうち、最も大きな支出と言われるのが「住宅購入資金」です。

全期間固定金利の住宅ローン『フラット35』で知られる「住宅金融支援機構」では、不動産取得にかかった資金の全国平均を公開しています。

2021年度において、新築マンションの取得にかかった資金の全国平均は4,528万円、土地付きの注文住宅の場合は4,455万円、建売住宅の場合は3,605万円となっています。
(参照:住宅金融支援機構『2021年度 フラット35利用者調査』p.10 https://www.jhf.go.jp/files/400361622.pdf

なお、住宅購入の際には、住宅と土地の売買代金のほかにも多くの費用がかかるという点には注意が必要です。詳しくは後に詳しく解説します。

3.ライフプランと不動産の購入予算の立て方

すでに解説してきたとおり、不動産を購入する前には入念な資金計画が必要であり、資金計画を立てるためには入念なライフプランの設計が必要です。

計画的な住宅ローンの返済を実現するために、ライフプランと不動産の購入予算は下記のような流れで立てることをおすすめします。

1)現在の収入・資産を把握する
2)将来の収入・資産の変化を把握する
3)将来必要になる大きな支出について考える
4)住宅資金と返済額を計算する
5)購入する不動産の予算を決める

1つずつ詳しく解説していきます。

1)現在の収入・資産を把握する

ライフプランを立てる第一歩は、現在の収入や資産などが「手元にいくらあるか」を把握することです。
ここでは毎月の収入だけでなく、預金や定期預金、株式・証券、不動産などの資産もすべて書き出すようにします。

2)将来の収入・資産の変化を把握する

原状を把握できたら、将来の収入や資産の変化・変動について考えていきます。
会社勤めしている人であれば、何年後にどれくらいの収入の増加が見込めるかを考え、さらに転職の可能性についても考慮する必要があります。

また、退職金がいくらくらいもらえそうかもあらかじめ知っておきましょう。すでに解説したとおり、定年退職後に受給開始になる年金だけでは、老後資金のすべてをまかなうことはできません。老後の生活費としてコツコツと貯蓄をしておくことも大切ですが、そこに退職金が加わることで、住宅ローンの返済が継続したとしても、安定した生活を実現できる可能性が高まります。

3)将来必要になる大きな支出について考える

現在と未来の収入・資産について把握すると、ライフプランのキャッシュフローにおける「収入」部分が把握できるようになるため、次に「支出」部分を埋めていきます。

人生においては、前の章で解説した教育資金・老後資金・住宅購入資金のほかにも、まとまった支出が発生するイベントが多くあります。

特に多くの出費が必要になるライフイベントには、上記で解説した人生の3大支出のほかに、以下のようなものが考えられます。

結婚 ・挙式代
・披露宴代
・婚約指輪、結婚指輪代
・結納の会場費
・新婚旅行代
出産 ・入院費*
・分娩料*
・おむつ代、ミルク代
・産休、育休による一時的な収入の減少
子供の独立 部屋数の少ない家への住み替え費用

*入院費や分娩料は健康保険料による給付金でまかなうことが可能

また、マイホーム購入のタイミングで自家用車の購入を検討している場合は、住宅ローンと自動車ローンを並行して組むことになります。融資を受ける順番によっては、審査が通りにくくなってしまう可能性もあるため、住宅や自動車を購入する前には必ずファイナンシャルプランナーに相談するようにしましょう。

4)住宅資金と返済額を計算する

現在と将来の収支の予想がついたら、いよいよ不動産の購入資金を設定するステップに移ります。
ここで重要になるのが、「自己資金=住宅資金」ではないこと、そして「借りられる額=返済できる額」ではないということです。

(1)住宅資金の考え方

ライフプランを立てた結果、「今ある貯蓄を全部使ってマイホームを買おう!」と考える人もいるかもしれません。確かに住宅ローンで融資を受ける際に多く頭金を用意しておけば、総返済額を抑えられますし、あこがれの間取りや設備を備えた住宅を設計できて、満足度の高い家づくりが可能になります。しかし人生にはトラブルがつきもの。病気や事故による突発的な出費が発生したり、経済状況・経営状況の悪化により収入が途絶えてしまったりすることも考えられます。

住宅購入に自己資金をすべて投じてしまうと、万が一のことが起きた際に生活できなくなってしまうだけでなく、住宅ローンの返済が滞り、最悪の場合マイホームを明け渡さなければいけなくなってしまうのです。

こうした事態を防ぐためにも、「自己資金のうちいくらを住宅資金として使うか」を考える必要があります。

まずは生活予備費を考えましょう。目安となる金額は、会社員の場合で生活費の3~6ヶ月分、個人事業主の場合は6ヶ月以上を貯蓄として残しておきます。病気やケガ、災害などに備えておくお金です。

次に考えるべきなのが将来のための貯蓄。ライフプランを作成した際に見えてきた結婚資金や教育資金、老後資金も手を付けずにとっておきましょう。
そして忘れてはいけないのが、マイホームができてから新生活を始めるために必要なお金。引っ越し代や新しく家具家電を購入するための費用など、直近で必要になるお金も住宅資金からは除外します。

こうして今すぐ必要なお金・万が一に備えるためのお金を除いて、手元に残った資金が「住宅資金」です。住宅資金は住宅ローンを借りる際の頭金や、住宅を購入する際にかかる手数料などに充てます。

(2)「返済できる額」から住宅ローンの借入額を算出する

住宅ローンで融資を受ける際、現在の年収や預金残高、過去の滞納履歴や勤務年数などの情報を基にして「いくらまで借りられるか」を診断することがあります。しかし、その結果を真に受けて「借りられる金額を満額融資してもらおう!」と考えるのは非常に危険です。

なぜなら同じ年収であっても、家族の人数やライフスタイル・将来のライフプランによって、毎月返済できる金額が異なるためです。借入可能額はあくまでも参考程度に、「毎月いくらであれば無理なく返済できるか」をベースに、借入金額を決めるようにしましょう。

住宅ローンの返済額は、年収負担率が25%以内であれば安心であると言われています。

「年収負担額」とは、ローンの年間返済額が年収に占める割合のこと。
例えば年収400万円の人であれば、年間返済額は100万円、毎月の返済額は約83,000円ということになります。ただし、これは住宅ローンだけでなく、車のローンやカードローンなども含む金額。他にも借り入れを行っている場合、住宅ローンの毎月の返済額はさらに少なく設定しましょう。

毎月の支出を家計簿などで把握できている人は、毎月いくらであれば無理なく返済できるかの目途をつけるのは難しくありません。もし把握できていない場合は、現在かかっている住居費と、マイホーム購入後にかかる「ローン返済以外の住居費」をもとに返済額を設定する方法があります。

毎月の返済額=今の住居費-マイホーム購入後にかかるローン返済以外の住居費

今の住居費:家賃、積立貯蓄
マイホーム購入後にかかるローン返済以外の住居費:マンションの管理費等、固定資産税等

住宅資金と住宅ローンの返済額が見えてきたら、住宅ローンで借り入れる金額を決めます。

毎月の返済額から算出する借入可能額は、返済期間やボーナス払いの適用有無、住宅ローンを組む際に固定金利と変動金利のどちらを選択するかなどによっても異なります。各金融機関やFP(ファイナンシャルプランナー)事務所から、借入金額のシミュレーションサイトが公開されているので活用しましょう。

5)購入する不動産の予算を決める

住宅ローンで借り入れる金額がわかったら、購入する不動産の予算を決めます。
予算を決める際にまず知っておきたいのが、住宅を購入する際には、住宅自体の売買金額のほかにも多くの費用がかかるということです。

マイホーム購入の際にかかる諸費用の一例を下記にまとめました。

仲介手数料 不動産会社に支払う手数料
住宅ローン
事務手数料
住宅ローンの契約の際に発生する手数料
印紙税 売買契約や請負契約書に貼る印紙の代金
登録免許税 取得した不動産の所有権登記をする際に必要な税金
保険料 入居時に加入する火災保険や地震保険にかかる保険料
管理費・修繕
積立金
マンションを購入する場合で、定期的に行われるマンションの修繕・補修に使用するために
積み立てておくお金

購入する不動産の種類によっても必要な費用は異なります。また、住宅購入費用やリフォーム費用は住宅ローンによる融資を受けることが可能ですが、上記諸費用は別途現金で準備する必要があるという点も押さえておきましょう。

それでは、実際に「いくらの物件を買えるのか」を計算するにはどうしたらいいのでしょうか。
これまでライフプランを作成するなかで分かった「住宅資金」と「借入可能額」を基に、下記のような計算式で算出されます。

購入可能な物件価格=住宅資金+借入可能額-購入諸費用

購入諸費用の金額は住宅の種類によっても異なります。一戸建ての場合は物件価格の6~10%、新築マンションは3~5%、中古マンションは5~8%程度と言われているため、参考にしながら物件の購入予算を立てていきましょう。

不動産購入の予算決めにはまずはライフプランから

ライフプランを立てることが、不動産購入時の予算決めにとっていかに重要かおわかりいただけたでしょうか。

ライフプランを立てる過程で、教育資金や老後資金、結婚や出産に係る費用など、不動産購入以外で発生する支出の全体像を把握しておくことで、無理なく返済できる住宅ローンの金額・購入できる不動産の価格がわかるようになります。

マイホームの購入は、人生の中でも特に多額の資金が必要になるライフイベント。「いくら借りられるか」ではなく「毎月いくらなら返済できるか」から、購入する不動産の価格を決める必要があります。

ライフプランや不動産購入のための資金計画は個人でも作成できますが、ファイナンシャルプランナーに相談して作成してもらうと安心です。近年では住宅ローンに詳しいファイナンシャルプランナーが在籍する不動産会社やハウスメーカーもあるので、上手に活用しましょう。

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