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2022.03.14

不動産の購入

公示価格や実勢価格とは?違い・調べ方・計算方法のまとめ

土地の売却を考える際に、以下のような悩みや疑問を抱える人は少なくありません。

「土地の評価はどうやって行えば良いんだろう?」
「公示価格と実勢価格のどっちを見れば良いの?」
「土地の評価額は自分で計算できるの?」

土地を評価する際に利用する評価額には、いくつか種類があります。目的に合わせて使い分けることが大切です。また公示価格や実勢価格は、どちらも「土地の売買時に参考となる価格を知る」ことを目的とした評価額です。

本記事では、公示価格や実勢価格に関する以下のポイントを解説します。

・それぞれの特徴や違い
・評価額を調べる方法や計算式
・公示価格と実勢価格に生じる金額の差

公示価格や実勢価格以外の評価額についてもまとめているので、ぜひ最後までお読みください。

公示価格や実勢価格の基礎知識

公示価格と実勢価格は、どちらも土地の評価額です。
一般的に、土地を売却する際に参考となる価格を知るために使用されます。

公示価格と実勢価格における違いは、以下の2点です。

・評価額が決まるタイミング
・評価額を決める人や機関

この章では、公示価格と実勢価格について、それぞれ詳しく解説していきます。

公示価格とは?

公示価格とは、買い手でも売り手でもない中立の立場から決められた土地価格のことです。
土地の売買取引における参考価格として活用されています。

公示価格は「公示地価」と「基準地価」の総称です。
それぞれの特徴を見ていきましょう。

公示地価とは?

公示地価とは、毎年3月に国土交通省から発表される土地の評価額のことです。
2人以上の不動産鑑定士によって、毎年1月1日時点の評価額が決められます。

公示地価を決めるにあたって、対象となる土地は以下の2つです。

・都市計画区域にある土地
・売買取引があると予想される土地

公示地価のことを公示価格と呼ぶケースもあります。

基準地価とは?

基準地価とは、毎年9月に都道府県から発表される土地の評価額のことです。
1人以上の不動産鑑定士によって、毎年7月1日時点の評価額が決められます。

基準地価を決める際には、都市計画区域以外にある土地も対象となります。

実勢価格とは?

実勢価格は、土地の売買が実際に行われたときに評価額が決まります。
そのため、数年にわたって取引がない土地だと、実勢価格がわからないこともあります。

実勢価格がわからない土地は、近隣エリアの実勢価格や公示価格を参考にして、取引価格を決めることが多いです。

実勢価格は、取引内容によっては売り手もしくは買い手にとって有利な価格になっている可能性もあります。なぜなら実際に取引が成立した際の価格であるためです。

土地のさまざまな取引によって変わる実勢価格は、あくまでも「参考価格」であると認識しておきましょう。

公示価格を調べる方法

公示価格は、国土交通省が運営している「土地総合情報システム」によって調べられます。

調べる際の手順は、以下のとおりです。

1.「土地総合情報システム」にアクセス
2.エリアを選ぶ
3.条件を入力し、公示価格を確認

具体的な手順を見ていきましょう。

「土地総合情報システム」にアクセス

はじめに国土交通省が運営している「土地総合情報システム」にアクセスします。
サイト内にある「地価公示 都道府県地価調査」を選んでください。

エリアを選ぶ

「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」のページが表示されます。
地図の中から、公示価格を調べたいエリアを選んでください。
今回は例として、東京都を選びました。

エリアを選ぶと、さらに細かい地図が表示されます。
調べたい市区町村を選び、次に進みます。

条件を入力し、公示価格を確認

「検索条件指定」のページが表示されるため、以下の条件を入力してください。

1.評価額
2.調査年
3.用途区分
4.地価

最後に「検索」をクリックすると、入力した条件に合う公示価格が一覧表示されます。

実勢価格を調べる方法

実勢価格を調べる方法は、以下の4つです。

1.「土地総合情報システム」を利用する
2.公示価格から割り出す
3.固定資産税評価額から割り出す
4.路線価から割り出す

それぞれ詳しく解説していきます。

「土地総合情報システム」を利用して実勢価格を調べる方法

実勢価格は、公示価格と同様に「土地総合情報システム」によって調べられます。

手順は以下のとおりです。

1.「土地総合情報システム」にアクセス
2.「不動産取引価格情報検索」を選ぶ
3.条件を入力して検索
4.過去の取引事例が表示される

手順3では、以下の条件を入力できます。

・取引時期
・土地や建物などの種類
・地域

過去の取引事例によって、実勢価格がわかるのです。

公示価格から実勢価格を割り出す方法

実勢価格は、公示価格から割り出すことも可能です。
以下のように計算します。

【 公示価格 × 土地面積 × 1.1~1.2 = 実勢価格 】

以下の背景から、計算式において「1.1〜1.2」という幅が出てしまいます。

・公示価格は、2人以上の不動産鑑定士が売り手と買い手に中立な立場で価格を決めている
・実勢価格は、実際の取引価格であるため、売り手と買い手の交渉によって価格が変わる
・地域や取引内容によって、公示価格と実勢価格の差が異なる

公示価格から割り出す方法であれば、取引事例がない土地でも実勢価格の目安を知ることが可能です。公示価格は「公示価格の調べ方」の章で解説したように「土地総合情報システム」から確認できます。

固定資産税評価額から実勢価格を割り出す方法

不動産の評価額の1つである「固定資産税評価額」を利用して、実勢価格を割り出す方法もあります。
計算式は以下のとおりです。

【 固定資産税評価額 ÷ 0.7 × 1.1 = 実勢価格 】

固定資産税評価額は、公示価格の70%ほどの金額です。固定資産税の課税明細書にある「価格」の項目に記載されています。課税明細書は、自治体から土地の所有者に毎年送られる固定資産税の納税通知書に同封されています。

固定資産税評価額から実勢価格を割り出す方法は、固定資産税の課税明細書が手元にある土地の所有者が、実勢価格を知りたいときにおすすめです。所有している土地を売却して引っ越したい場合、固定資産税評価額から実勢価格を割り出し、売却計画を立て始めることもできます。

路線価から実勢価格を割り出す方法

不動産の評価額の1つである「路線価」から、実勢価格を割り出すことも可能です。
路線価は、公示価格の80%ほどの金額に設定されています。

路線価を利用して実勢価格を割り出す式は、以下のとおりです。

【 路線価 × 土地面積 ÷ 0.8× 1.1 = 実勢価格 】

路線価は、国税庁のホームページにある「路線価図・評価倍率表」で調べられます。

「路線価図・評価倍率表」は、地図の中から調べたい地域を選び、条件を絞り込んでいく仕組みです。

路線価から実勢価格を割り出す方法は、路線価と実勢価格の両方を知りたい人におすすめです。たとえば相続した土地を売却したい場合、路線価から相続税評価額を計算し、そのまま売却相場である実勢価格を割り出すことができます。

公示価格と実勢価格には差が生じることが多い

公示価格と実勢価格に差(乖離)が生じるケースはよく見られます。そのため、どちらかを調べただけで不動産の売買を考えるのは避けましょう。

この章では、公示価格と実勢価格に差が生じる理由や、乖離率の調べ方について詳しく解説していきます。

公示価格と実勢価格に差が生じる理由は?

公示価格と実勢価格に差が生じる理由は、主に以下の2つです。

1.評価されるタイミングが異なるため
2.実勢価格は細かな条件で変動するため

公示価格は、毎年1月1日に土地の評価額が決定し、3月に発表されます。一方で実勢価格は、土地取引があったタイミングで評価額が決定します。

土地取引が少ない地域の場合、公示価格はその年の1月1日に決定した評価額ですが、実勢価格は何年も前の取引を基にした評価額しか見つからない可能性もあるということです。

不動産の価格は、周辺環境の変化や景気動向により、日々変動します。公示価格と実勢価格の評価されたタイミングがずれればずれるほど、評価額の差は大きくなってしまいます。

さらに実勢価格は、実際の土地取引における売り手と買い手のパワーバランスや交渉によって、評価額が変動してしまうケースも多いです。

公示価格と実勢価格の乖離率の調べ方

公示価格と実勢価格の差である「乖離率」の調べ方は、以下のとおりです。

1.国土交通省の「土地総合情報システム」で、公示価格と実勢価格を調べる
2.「実勢価格 ÷ 公示価格」を計算すると、乖離率が出る

乖離率が1を超えている場合、実勢価格が公示価格よりも高いということです。

また実勢価格は、あくまでも過去の取引に基づいた価格であるため、参考価格にしかなりません。実際に土地を売却もしくは購入するときには、買い手や売り手と交渉する必要があり、交渉によって価格が変動します。

たとえば、収入が減り住宅ローンの返済が難しくなった売り手が、できるだけ早く不動産を売却したい場合を考えてみましょう。売り手は焦って買い手を探しているため買い叩かれ、実勢価格よりも売却額が低くなる可能性があります。

公示価格・実勢価格以外の評価額

公示価格や実勢価格以外にも、土地価格の目安になる評価額があります。
以下の3つです。

・路線価
・固定資産税評価額
・鑑定評価額

1つずつ詳しく解説していきます。

路線価

路線価は、国税庁が毎年7月に発表している評価額です。公示価格や不動産鑑定士による評価額を基に、毎年1月1日時点で計算されています。

路線価の評価額は、公示価格の80%ほどの金額が目安です。

路線価を利用すると、土地の相続税評価額を割り出せるため、相続税や贈与税の計算にも使われます。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、不動産の固定資産税を計算するための評価額です。

3年に1度見直しが行われ、不動産鑑定士が評価した額を基に、自治体が決定しています。公示価格の70%ほどの金額が目安です。

固定資産税評価額は、不動産を所有している場合、市町村から毎年送られてくる固定資産税の課税明細書で確認できます。路線価がない土地の相続税評価額を知りたい場合、路線価の代わりとして固定資産税評価額を用いて計算するケースもあります。

鑑定評価額

鑑定評価額は、不動産鑑定士によって評価された不動産の価格です。特殊な不動産の売買価格を知りたいときや、不動産の客観的な価値を知りたいときに利用されます。

鑑定評価を行えるのは、不動産鑑定士のみです。不動産鑑定士に依頼し、鑑定評価額を出してもらう際には、20万円〜30万円ほどの費用がかかります。

まとめ

土地の評価方法には、いくつか種類があります。

本記事で解説したそれぞれの特徴は、以下のとおりです。

評価額 決定機関・人 決定日 主な確認方法 目的
公示地価 国土交通省 毎年1月1日 土地総合情報システム 土地の売買価格の目安を知る
基準地価 都道府県 毎年7月1日
実勢価格 各取引日
路線価 国税庁 毎年1月1日 路線価図・評価倍率表 相続税や贈与税の計算
固定資産税評価額 市区町村 3年ごとの
1月1日
課税明細書 固定資産税の計算
鑑定評価額 不動産鑑定士 各鑑定日 不動産鑑定士による鑑定 不動産の客観的な価値を知る

不動産の売却や購入を検討しているときには、公示価格や実勢価格を調べて相場を予測することが大切です。

公示価格は、2名以上の不動産鑑定士が算出する中立的な評価額です。一方で実勢価格は、過去に行われた取引の価格を基にして評価額が決まります。

公示価格や実勢価格は、あくまでも参考値であるため、実際の取引価格とは異なる可能性が高いです。土地の正確な評価額を知りたい場合は、不動産会社に査定を依頼してください。

目的に適した評価額を正しく活用し、不安や悩みのない不動産運用にしましょう。

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