2023.06.28
不動産の購入
マンション騒音のトラブル事例3選【騒音トラブルを防ぐためには?】
マンションにおける騒音問題は、日常生活のストレスとなり、生活の質を損ねる原因にもなります。
静かな環境で快適にマンションライフを送るのであれば、騒音トラブルを防ぐことが重要です。
また、他の住人の方と良好な関係を築いていくためには、自身も騒音を出さないように気を付けることも大切です。
本記事では以下の内容を解説します。
・マンションの騒音が起こる原因
・マンションの騒音で伝わる音
・マンションの騒音トラブル事例3選
・騒音トラブルが起きにくいマンションの選び方
・マンションのトラブルが起きたときの対処法
これからマンションを購入しようとお考えの人は、ぜひ本記事で解説している内容を参考にして、騒音トラブルが起きにくいマンションを選びましょう。
マンション騒音が起こる原因
マンション騒音が起こる原因には、以下のようなものがあります。
・生活音
・テレビ
・楽器
・ペット
・周辺環境
マンションの構造によっても、上記の音が漏れるかどうかが変わってきます。
マンションは、鉄骨構造か、鉄筋コンクリート構造で作られていますが、鉄筋コンクリート構造のほうが防音性は高いです。
マンション騒音で伝わる音は?
マンション騒音で伝わる音には、以下の2種類の音があります。
・空気伝播音
・固体伝播音
それぞれ解説しますので、マンション選びの際の参考にしてみてください。
空気伝播音
空気伝播音とは、その名のとおり、音の振動のうち、空気の中を伝わって聞こえる音のことを言います。
人の声や楽器の音、テレビやオーディオの音、機械の騒音などが、空気伝播音に該当します。
空気伝播音は、音を発している方向に直線的に伝わるだけでなく、壁や、床、天井などの障害物に反射して、反響することもあります。
空気伝播音は、私たちの日常生活でよく発せられる音です。
固体伝播音
固体伝搬音とは、床や天井、壁などの固体を通じて伝えられる音のことを言います。
足音や椅子を引く音、ドアの閉まる音や、壁などにぶつかったり叩いたりしたときに伝わる音などが該当します。
固体伝搬音は、振動が物体内を直接伝わるため、空気伝播音と比較して伝導性が高いです。
マンションによっては、隣や階下に音が伝わりにくいよう、壁や床に音を吸収する素材を使ったり、二重構造にしたりするところもあります。
マンション騒音のトラブル事例3選
それでは、よくあるマンション騒音のトラブル事例を3つ紹介します。
よくある騒音トラブルは以下の3つです。
・ペットの声によるトラブル
・楽器の音によるトラブル
・子どもの声によるトラブル
1つずつ詳しく紹介していきます。
ペットの声によるトラブル
まずは、ペットの声による騒音トラブルです。
マンションでは、ペットが飼えるところが多いですが、特に犬の鳴き声に関するトラブルが多く聞かれます。
犬は、犬種やしつけの仕方で、無駄吠えしたりすることがあります。
夜中に何度となく吠えられると、鳴き声のせいで眠れなくなることもあります。
楽器の音によるトラブル
次に楽器の音によるトラブルです。
楽器は必ず音が出るため、マンションでは隣人に対して騒音となる場合があります。
特に、トランペットやドラムセットなど、音を抑えるのが難しい楽器は音が伝わりやすいため、トラブルになりやすいです。
演奏時間をずらしてもらうとか、スタジオやレンタルスペースでの練習を検討してもらえるとよいですが、隣人と信頼関係ができていないと、なかなか言いにくい場合もあります。
子どもの声によるトラブル
最後に、子どもの声によるトラブルです。
小さい子どもは静かにじっとしていることは難しいため、マンションでは子どもの声や騒ぎ声が、近隣住民にとって騒音となる場合があります。
子どもたちが元気に遊ぶ声や走り回る音は、人によっては、日常生活において気になる要素となることがあります。
子どもたちにとっては、元気で活発な遊びをすることが自然な成長過程ですが、マンションでは周囲への配慮が求められます。
「子どもがまだ小さいから仕方がないか」と思える人はいいですが、気になって仕方がない人もいらっしゃいます。
こちらも、楽器の音の場合と同様、隣人との信頼関係ができていないとなかなか言いにくいところではありますが、トラブルを解決するためには、隣人と積極的にコミュニケーションを取ったり、マンション管理組合を通して指摘してもらうとよいでしょう。
マンションの騒音に関する法律はある?
マンション騒音に悩んでいる人の中には、騒音に対して「これって違法にならないの」と思う人もいるかも知れません。
しかし、マンションの住人同士における騒音トラブルについては、全国共通ルールで適用できる法律は存在しないのが現状です。
日本には騒音を規制する法律として「騒音規制法」という法律はあるものの、対象となるのは工場や建設現場、自動車の音に対する規制法であって、生活騒音は対象外です。
生活騒音は人の活動によって発せられる音なので、なくすことはとても困難です。
もし、どうしてもなんとかしたい場合は、以下の方法を取ります。
・管理組合への相談
・弁護士への相談
・警察への相談
【管理組合への相談】
もし、騒音のもとになっている住人へ直接指摘するのが難しい場合は、管理組合を通して指摘してもらうのも1つの方法です。
なぜなら、管理組合はマンションの住人の権益を守り、共同生活を円滑に運営するための組織だからです。
騒音問題は共同生活の質を低下させることになります。
騒音問題によって住人の生活が著しく妨げられる場合は、管理組合は住人の権益を守るために適切な措置を講じる責任があります。
そのため、まずは管理組合へ相談してみるとよいでしょう。
【弁護士への相談】
騒音トラブルの解決に難航している場合は、弁護士への相談も検討してみましょう。
弁護士へ相談する場合は、紛争解決手段としての「訴訟」だけでなく、話し合いによる円満な解決を目指す「調停」も選択肢の一つとなります。
また、弁護士の介入により相手方にプレッシャーがかかり、苦情が無視されるリスクを低減できます。
弁護士費用が高額であるというデメリットはありますが、より確実な解決を望むのであれば弁護士に相談することをおすすめします。
【警察への相談】
警察への相談も、騒音トラブル解決に使える1つの手段です。
なぜなら、度を超えた騒音は不法行為に該当するためです。
生活騒音の場合、事件や事故ほどの深刻さがないため、通報に躊躇するかもしれませんが、我慢できないほどの深刻な騒音が発生している場合は、迷わず警察に通報すべきです。
警察は騒音の通報を受けると、現場に急行し、騒音の発生源(騒音を引き起こしている人)に注意を促します。
刑事事件に発展していない場合、警察は騒音を止めるための強制力は持ちませんが、警察の介入により多くの人は音を抑える傾向があるため、即効性の高い効果が期待できます。
また、直接的に苦情を伝えるよりも、騒音の主に対する反感を買うリスクがないという利点もあります。
ただし、以下2点に注意が必要です。
・交番ではなく、必ず110番に通報すること
・もし直接騒音主に苦情を伝えた場合は、苦情を伝えた直後の通報は控える
交番ではなく110番をおすすめするのは、交番の場合、警察官が不在であったり、緊急性がないと対応してくれなかったりするためです。
110番通報であれば、出動指令が出されて、現場へ向かってくれる確率が高くなります。
そのため、必ず110番に通報しましょう。
そして、もし110通報するのであれば、「直接騒音主に苦情を伝えた直後」は控えましょう。
なぜなら、「だれが通報したのか」が騒音主から予測されやすくなるためです。
騒音主からすると気分は良くないので、さらに大きなトラブルに発展する可能性もあります。
そのため、110番通報するのであれば、苦情を伝えた時期からしばらく期間を経てからにしましょう。
騒音のトラブルリスクが低いマンションの選び方
マンション選びは、とても大きな買い物になるため、できるだけ騒音のトラブルリスクが低いマンションを選びたいものです。
どんなマンションを選んだとしても、生活騒音のトラブルリスクの可能性はありますが、マンションの選び方によっては、トラブルリスクを軽減できます。
騒音のトラブルリスクが低いマンションの選び方としては、以下のポイントで選ぶとよいでしょう。
・最上階の角部屋を選ぶ
・壁が厚いマンションを選ぶ
・給気口などに工夫があるマンションを選ぶ
これらのポイントについて、1つずつ詳しく解説します。
最上階の角部屋を選ぶ
騒音トラブルリスクをできるだけ低くする方法の一つとして「最上階の角部屋を選ぶ」というポイントがあります。
理由は、隣が1軒しかなく、上の階の住人もいないからです。
角部屋以外では、必ず両隣に入居者がいるため、隣が1軒しかない角部屋と比べて、隣人からの生活騒音によるトラブルリスクは半分になります。
また、最上階であれば、上の階の住人がいないため、上の階の人の足音や、物を落したときの音に悩まされる心配もありません。
中層階で中部屋の場合、上下左右の4軒に接していますが、最上階の角部屋であれば、隣1軒と階下1軒の2軒に接しているだけなので、上下左右で考えても、騒音トラブルリスクは半分になります。
さらに、階数の多いマンションであれば、最上階の角部屋は通常、周囲に建物がなく開放感があります。
そのため、騒音や振動も少なく、静かな環境を保てます。
ただし、最上階の角部屋を選ぶ際には、風の影響を受けやすく風騒音や窓の振動に注意が必要だったり、日照が得られやすいものの、逆に夏場は熱がこもりやすかったりします。
壁が厚いマンションを選ぶ
騒音トラブルリスクを軽減するには、できるだけ壁が厚いマンションを選ぶとよいです。
マンションは鉄筋コンクリート構造の建物が多く、壁の厚さが厚いほど、防音性に優れています。
おおよそ、隣の家の壁の厚さが200mm以上あれば防音性に優れている物件であると言えます。
壁の厚さを確認したい場合は、マンションの内見をする前に、不動産会社へ事前に伝えておくとよいでしょう。
内見時には、実際に壁を軽くコンコンと叩いて確認してみたり、可能であればマンションの図面を見せてもらい、外壁の厚さを確認したりするとよいです。
給気口などに工夫があるマンションを選ぶ
給気口を通して伝わってくる音も、騒音トラブルの原因になる場合があります。
そのための、給気口に防音の工夫があるマンションであれば、騒音を軽減できます。
例えば、最近のマンションの給気口には、防音フードや消音ボックスがついたものもあります。
それらがついている給気口であれば、騒音を軽減できますので、こちらも内見時に確認してみるとよいでしょう。
マンションの騒音トラブルが起きた場合の対処法
どんなに防音性の優れたマンションに住んでたとしても、騒音トラブルが起きる可能性はあります。
騒音トラブルには、「近隣の住人からの騒音トラブル」と、「自分の家から出る騒音トラブル」があります。
近隣の住人からの騒音トラブルの場合は、前述のとおり、管理組合や弁護士、警察への相談という方法で対処できます。
一方、自分の家から出る騒音トラブルの場合は、自分で近隣住人へ迷惑をかけないための配慮が必要になります。
その対処法としては、以下のような方法が考えられます。
・テレビやオーディオなどの視聴時間と音量の調整
・床の防音対策
・家具の配置
・隣人とのコミュニケーション
【テレビやオーディオなどの視聴時間と音量の調整】
「テレビやオーディオの音がうるさい」という苦情を言われる場合は、視聴時間と音量を調整しましょう。
早朝や深夜に大きなボリュームで視聴するのは近隣の迷惑につながります。
可能であれば、イヤホンやヘッドセットの利用や、視聴時間帯の変更をしましょう。
【床の防音対策】
床に敷物やカーペットを使用することで、足音や物の落下音を和らげることが可能です。
床に柔らかい素材を敷くことで、衝撃音や振動を吸収し、隣人への騒音を軽減する効果があります。
特に小さい子どもがいる家庭では、室内で走ったり飛び跳ねたりすることもあるので、ジョイントマットなども利用することをおすすめします。
【家具の配置】
家具の配置にも配慮をしましょう。
本棚やタンス、クローゼットなどの大型家具を壁面に置くことで、壁への音の伝わりを減らせます。
【隣人とのコミュニケーション】
もし騒音トラブルが発生した場合は、隣人とのコミュニケーションを大切にしましょう。
騒音についての配慮や謝罪の意思を伝え、共通の解決策を模索することが大切です。
相互理解や協力関係を築くことで、騒音トラブルを軽減することができる場合もあります。
まとめ
マンション騒音のトラブルは、多くの住人にとって生活の質を損ねる大きな問題です。
同じマンションの住人が出す騒音によって迷惑を被ることもあれば、自分の日常生活音が騒音となって、同じマンションの住人に迷惑をかけてしまうこともあります。
騒音トラブルにより、住民同士の関係が悪化してしまうのは、これからマンションで長く生活する上では避けたいものです。
これからマンションを購入する予定の人は、本記事を参考に、この「騒音問題」にも関心を持って、物件を選ぶことをおすすめします。
そして、できるかぎり周囲の住人に迷惑をかけないよう、「自分の家から近所迷惑な音を出していないか」ということに気を配るのも大切なことです。
もし、騒音トラブルが起きてしまった場合は、管理組合や、弁護士、警察への相談といった対処法もあります。
騒音トラブルを防ぐためには、住人同士の協力と配慮も大切です。
マンション購入後も、住人同士で互いに理解し合い、適切な対策を講じながら、快適なマンション生活を実現しましょう。