2022.05.12
不動産の購入
不動産取得税には要注意!相続時の課税についてケースごとに徹底解説!
不動産取得税は、不動産を取得したときに課税される税金です。不動産を購入したとき、贈与を受けたときには、不動産取得税が課税されます。それでは、不動産を相続したときの取得は課税対象になるのでしょうか。相続時には相続税が課税される場合もあり、追加で不動産取得税も課税されてしまっては、かなりの額が税金として徴収されてしまいます。
不動産取得税は相続する方法により課税されるのか、課税されないのか決まってきます。相続人へ相続財産を渡す方法はいくつかありますが、不動産取得税が課税されて思ったよりも相続財産を渡せないということがおきないようにしておくことが大切です。
大きな税金の課税を回避できるよう、本記事では、不動産取得税が課税されないケースと課税されるケースを解説します。また、不動産取得税が課税される相続方法を選ぶ人のために、不動産取得税の計算などの基礎も解説します。
不動産取得税とは
土地や家屋の購入や贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに、取得した人に対して課税される税金です。有償・無償の別、登記の有無にかかわらず不動産取得税は課税されます。ただし、相続により取得した場合など、一定の場合には課税されません。
この一定の場合というのが問題となってきます。その問題に移る前に、まずは不動産取得税の基礎を解説します。
不動産取得税の基礎
不動産取得税は、取得した不動産の評価額に税率を掛けることで算出します。
<不動産取得税の計算方法>
不動産取得税額=固定資産税課税標準額×4%
固定資産税課税標準額とは、都道府県が固定資産税額を決定するために、不動産の評価をした金額のことです。売買金額や路線価額、公示価格とは違います。
なお、不動産取得税には多くの減税措置があるため、減税措置についても解説します。
不動産取得税の時限措置
2024年3月31日までの時限措置として、取得した土地や住宅に対する不動産取得税は、固定資産税課税標準額の4%から3%に引き下げられています。住宅以外の家屋は軽減されず、4%のままです。
また、2024年3月31日までの宅地の固定資産税課税標準額が2分の1になります。
宅地の固定資産税課税標準額の特例の計算方法
宅地の不動産取得税額=固定資産税課税標準額×1/2×税率
なお、宅地とは固定資産税課税台帳に宅地と記載されているか、現況が宅地になっている状態の土地を指します。
新築住宅を取得した場合の軽減措置
2024年3月31日までに新築住宅を取得した場合は、一定の要件を満たせば1,200万円が控除されます。
<新築住宅を取得した場合の軽減措置の計算方法>
不動産取得税=(固定資産税課税標準額 −1,200万円)×3%
新築住宅を取得した場合の控除を受けるための条件は、以下のとおりです。
・課税床面積が50平方メートル(戸建て以外の賃貸住宅は40平方メートル)以上、240平方メートル以下であること
・居住用あるいはセカンドハウス用の住宅であること
新築住宅用の土地を取得した場合の軽減措置
2024年3月31日までに、新築住宅用の土地を取得した場合も軽減措置が適用されます。
<新築住宅用の土地を取得した場合の軽減措置の計算方法>
不動産取得税=(固定資産税評価額 ×1/2× 3%)-控除額(下記AかBの多い金額)
A = 4万5,000円(税額が4万5,000円未満の場合にはその金額)
B =(土地1平方メートル当たりの固定資産税評価額 ×1/2)×(課税床面積 × 2)× 3%
ただし、課税床面積は200平方メートルでを上限として計算します。
新築住宅用の土地を取得した場合の軽減措置を受けるための条件は、以下のとおりです。
・新築住宅の軽減の要件を満たすこと
・(土地先行取得の場合)取得から3年以内に建物を新築すること
・(建物建築先行の場合)土地を借りて住宅を新築した人は、新築1年以内にその土地を取得すること
長期優良住宅を取得した場合の軽減措置
長期優良住宅とは、国が定めた長期優良住宅制度の認定基準に従い、長期間にわたって住み続けられると認定された良質な住宅のことです。認定長期優良住宅と認められた場合は、新築住宅の軽減措置の控除額の1,200万円に100万円が上乗せされ、最大で1,300万円の控除を受けられます。
<長期優良住宅を取得した場合の軽減措置の計算方法>
認定長期優良住宅の不動産取得税=(固定資産税評価額 – 1,300万円)× 3%
中古住宅を取得した場合の軽減措置
2024年3月31日までに不動産を取得し、一定の要件を満たすことにより、固定資産税評価額から100万円〜1,200万円が控除されます。控除額は、登記上の建物の建築年月日によって異なります。
<中古住宅を取得した場合の計算方法>
不動産取得税=(固定資産税評価額 − 控除額)× 3%
中古住宅の軽減措置を受けるための条件は、以下のとおりです。
・買主の居住用、またはセカンドハウス用としての取得
・課税床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であること
・1982年1月1日以降に建築された住宅または新耐震基準に適合する住宅であること
中古住宅の敷地を取得した場合の軽減措置
中古住宅の敷地の軽減措置は、新築住宅の敷地の場合と税額計算方法は同じです。
軽減措置を受けるための条件は、以下のとおりです。
・敷地に建っている中古住宅が、軽減措置の条件を満たすこと
・(土地先行取得の場合)取得から1年以内にその土地上の建物を取得すること
・(建物建築先行の場合)土地を借り、その土地上の建物を取得した場合は、1年以内にその土地を取得すること
不動産取得税は相続時になぜかからない?
不動産取得税には、生存している人から不動産を取得するときに課税されるという前提があるからです。そのため、被相続人が死亡し相続が発生した場合には、亡くなった人から不動産を取得するため、不動産取得税は課税されないということです。
不動産取得税が相続の方法によっては不動産取得税が課税される
前述のとおり、被相続人が亡くなった状態で、相続した不動産には不動産取得税は課税されません。相続させる方法として、被相続人が生存しているときにも、財産を相続させる方法があります。この場合の相続には、被相続人が生存しているため不動産取得税が課税されます。
それでは被相続人が生存しているときに、相続ができる方法とはどのような方法なのでしょうか。被相続人が生存している状態で相続できる方法をケースごとに紹介します。
生前贈与を受けた場合
生前贈与とは、生きている間に財産を配偶者や子、孫などに贈与することです。生きている間に行う財産の移動=相続のため、生前贈与は不動産取得税の課税対象になります。
死因贈与を受けた場合
死因贈与とは、財産を贈与をする人が亡くなったときに、はじめて財産の贈与を受ける人に財産が移動=相続する贈与のことです。
これは、財産を贈与する人が亡くなった後に、財産の移動=相続が発生するため、流れだけ見ると不動産取得税が課税されないように見えます。しかし、死因贈与の場合も不動産取得税は課税されます。死因贈与の契約は、財産を贈与する人が生きている間に、財産を受け取る人と締結するため不動産取得税が課税されます。
法定相続人以外が遺贈を受けた場合
遺贈とは、遺言によって財産を移動=相続させることをいいます。遺言を作成し、法定相続人以外の人物にも財産を承継させることができます。
遺贈には包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。
包括遺贈は、全体の財産のうち、半分を指定した人へ遺贈するというように、特定の財産を指定せずに一定割合を承継させる方法です。包括遺贈の場合は、誰が財産を受け取っても不動産取得税は課税されません。
一方、特定遺贈は指定した人ごとに財産を振り分け遺贈するというように、特定の財産を指定して承継させる方法です。特定遺贈の場合は、法定相続人以外の人物にも財産を承継させたときのみ、不動産取得税が課税されます。なお、法定相続人への特定遺贈は、相続のため不動産取得税は課税されません。
相続時精算課税制度でも不動産取得税が課税される?
財産を渡す人が生前に贈与した場合には、不動産取得税が課税されることは先述しました。
それでは、相続時精算課税制度を利用した場合も不動産取得税は課税されるのでしょうか。
結論を言いますと、相続時精算課税制度は生前の贈与に当たるため、不動産取得税が課税されます。
相続時精算課税制度はよく利用される制度のため詳しく解説します。
相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度とは、原則として60歳以上の父母または祖父母から、18歳以上の子または孫に対して、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度です。相続時精算課税制度を利用すると、生前贈与のうち2,500万円までは非課税となります。2,500万円以上贈与した場合は、2,500万円を超えた額に対して一律20%の税率となり贈与税が課税されます。
相続時精算課税制度を利用する場合は、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの贈与税の申告期間内に、贈与税の申告と一緒に相続時精算課税選択届出書の届出が必要です。
相続時精算課税制度を利用するときの注意点
相続時精算課税制度を選択した人が亡くなったときに課税される相続税額は、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の価額と、相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納めた相続時精算課税にかかわる贈与税相当額を控除して算出します。
この場合、相続税額から控除しきれない相続時精算課税にかかわる贈与税相当額については、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
相続時精算課税制度を選択すると、その選択にかかわる贈与者から贈与を受ける財産については、その選択をした年分以降すべてこの制度が適用され、110万円の暦年課税へ変更することはできません。そのため、110万円の暦年課税のほうが節税になる場合は、相続時精算課税制度を利用してはいけません。110万円の暦年課税とは、毎年110万円までの贈与には、贈与税が課税されない制度のことをいいます。
相続発生時の登録免許税について
財産の移転=相続を行うときには、不動産の名義を変更し、変更の登記をしなければなりません。所有権の移転の変更登記を行う場合には、登録免許税も課税されます。この登録免許税も所有権移転をされる方法により税率が変わります。
<登録免許税の計算方法>
登録免許税=固定資産税課税標準額×税率
登録免許税の税率
相続による所有権移転の場合、税率は0.4%
贈与による所有権移転の場合、税率は2.0%
なお、個人が相続(相続人に対する遺贈も含む)により土地の所有権を取得した場合において、当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは、2025年3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については、登録免許税は課税しないことになっています。
相続のときの強い味方「住まいの無料相談」
相続発生時に相続税が課税される人は、必ずと言っていいほど相続税対策をします。しかし、間違った相続税対策を行ってしまうと税金の課税が増えていく可能性もあります。自分や相続人にあった相続税対策をしなければ、節税ができないということです。
ただ、自分や相続人にあった相続税対策といっても、どのように対策をしたらいいのか、なかなか分からないはずです。どのような対策を行ったらいいのか迷った場合には「住まいの無料相談」に相談するのがおすすめです。
相続税が課税される場合は、一般的に不動産が関係してきます。そのため、相続税対策を行う場合は、不動産と金融のプロに相談することが大切です。「住まいの無料相談」には、宅地建物取引士やファイナンシャルプランナーが多く在籍しています。不動産のプロと金融のプロから相続の適切なアドバイスを受けることができます。
大切に守ってきた相続財産を税金で失うことにならないよう、早めに相談しアドバイスを受け、財産を守っていきましょう。