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2023.01.06

不動産の購入

不動産取得税の勘定科目は?|経費計上の可否や消費税区分も解説

不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を「相続以外の手段で」取得したときに課税される地方税の1つです。取得した不動産がある都道府県に納めます。

不動産取得税について、以下のような疑問を持つ人は少なくありません。

「勘定科目はなに?」
「経費として計上できるの?」
「消費税はかかるの?」

この記事では、不動産取得税の勘定科目や経費との関係性、消費税区分などについて詳しく解説します。不動産取得税の基礎知識や計算方法についてもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

不動産取得税の勘定科目は?

不動産取得税の勘定科目として適切なのは「租税公課」です。
国税庁のホームページには、以下のように記載されています。

“租税公課
業務の用に供される資産に係る次のような租税は、各種所得の金額の計算上必要経費に算入されます。

1.固定資産税
2.登録免許税
3.不動産取得税
4.地価税
5.特別土地保有税
6.事業所税
7.自動車取得税
8.自動車税”

引用元:国税庁「固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合

事業用の資産を取得した際の不動産取得税は、租税公課に該当し、経費として計上して良いのです。

参考:租税公課とは

租税公課とは、損益計算書の勘定科目のことです。「そぜいこうか」と読み、以下の2つを合わせています。

・国税や地方税である「租税」
・国や地方公共団体に対する公的な課金である「公課」

不動産取得税の仕訳例

不動産取得税における仕訳について解説します。
土地の取得において「32万円の不動産取得税」を「現金」で納めた場合の仕訳例は、以下のとおりです。

借方 貸方
科目 金額 税区分 科目 金額 税区分
租税公課 320,000 対象外 現金 320,000 対象外

またクレジットカードで納税した場合、口座引き落としの前後で以下のように仕訳が変わります。

【クレジットカード納税・口座引き落とし前】

借方 貸方
科目 金額 税区分 科目 金額 税区分
租税公課 320,000 対象外 未払金 320,000 対象外

不動産取得税を現金で納める場合、貸方の科目は「現金」でした。
クレジットカードで納める場合、口座から引き落とされるまでは、貸方の科目が「未払金」になります。

【クレジットカード納税・口座引き落とし後】

借方 貸方
科目 金額 税区分 科目 金額 税区分
未払金 320,000 対象外 普通預金 320,000 対象外

クレジットカードで不動産取得税を納め、口座から引き落とされたあとは、借方と貸方の科目が変わります。

不動産取得税とは?

この章では「そもそも不動産取得税とはなにか」について詳しく解説します。
不動産取得税とは、土地や建物などの不動産を取得したときに一度だけ納める地方税のことです。

課税対象になる取得方法は、以下のとおりです。

・新築
・購入
・増改築
・贈与
・交換

不動産取得税における納税額は、自分で計算する必要はなく、納税通知書で確認します。納税通知書は、不動産を取得してから半年〜1年後に都道府県から届きます。

納付方法や納付期限は都道府県によって異なるため、納税通知書に従いましょう。

不動産取得税が非課税となるケース

不動産の取得方法や金額によっては、不動産取得税が非課税となるケースがあります。

不動産取得税が非課税となるケースは、以下のとおりです。

・相続による不動産の取得
・10万円未満の土地の取得
・12万円未満の建物の売買による取得
・23万円未満の費用で行う新築や増改築

相続以外のケースは現実的でない金額のため、基本的に不動産取得税は「かかるもの」と考えておきましょう。

不動産取得税は不動産の取得価額に含めなくて良い

不動産取得税は、不動産の取得価額に含めなくて良いとされています。なぜなら、付随費用とみなされないためです。

付随費用とは、不動産の取得時にかかる「土地や建物の価格以外の費用」を指します。不動産の取得価額に含まれます。

付随費用の項目は、以下のとおりです。

・売買時の仲介手数料
・地鎮祭や上棟式にかかる費用
・立退料
・固定資産税清算金
・地方公共団体への寄付

国税庁のホームページには、以下のように記載されています。

”次に掲げるような費用の額は、たとえ固定資産の取得に関連して支出するものであっても、これを固定資産の取得価額に算入しないことができる。

(1) 次に掲げるような租税公課等の額
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税”

引用元:国税庁「消費税基本通達 第1款 固定資産の取得価額7-3-3の2

不動産取得税の計算方法

この章では、不動産取得税の計算方法について解説します。不動産取得税は、取得した不動産が「土地か建物か」「事業用か住居用か」によって、計算式が変わります。

以下の2パターンに分けて、それぞれの計算式を見ていきましょう。

・事業用不動産の不動産取得税
・住居用不動産の不動産取得税

事業用不動産の不動産取得税

事業用の不動産を取得した場合における、不動産取得税の計算式は以下のとおりです。

・事業用の建物:建物の固定資産税評価額 × 4%
・事業用の土地:土地の固定資産税評価額 × 1/2 × 3%

具体的に計算してみましょう。
事業用として、固定資産税評価額を以下とする建物と土地を購入したとします。

・建物の固定資産税評価額:1億円
・土地の固定資産税評価額:1.5億円

この場合、不動産取得税は以下のように求めることができます。

・建物の不動産取得税:1億円 × 4% = 400万円
・土地の不動産取得税:1.5億円 × 1/2 × 3% = 225万円
・不動産取得税の合計:400万円 + 225万円 = 625万円

上記のように、建物と土地の不動産取得税は別々に計算する必要があるのです。借地の上に建っている建物を取得した場合は、建物に対してのみ不動産取得税が課税されます。

また土地の計算式に関しては、令和6年3月31日までの税率軽減措置を適用したものです。令和6年4月1日以降は、建物と同じ計算式になります。

住居用不動産の不動産取得税

住居用の不動産を取得した場合における、不動産取得税の計算式は以下のとおりです。

・新築の建物:( 建物の固定資産税評価額 – 1,200万円 ) × 3%
・中古の建物:( 建物の固定資産税評価額 – 築年数ごとに定められた控除額 ) × 3%
・土地:土地の固定資産税評価額 × 1/2 × 3%

中古の建物の計算式にある「築年数ごとに定められた控除額」は、100万円〜1,200万円の幅があり、築年数が新しいほど金額が大きくなります。平成9年4月1日以降に建てられた建物は、新築と同じ額である1,200万円の控除額が適用されます。

なお、上記の計算式はすべて、令和6年3月31日までの税率軽減措置を適用したものです。

不動産取得税と経費の関係

不動産取得税を経費として計上できるかどうかは、取得した不動産の「用途」によって決まります。不動産の用途が事業用であれば、経費計上が可能です。

事業用の不動産は、不動産取得税だけでなく、以下のような費用も経費として計上できます。

・不動産を登記する際に納める登録免許税
・登記を代行してくれる司法書士への報酬

自宅の一部が事業用の場合

自宅兼事務所として、1つの建物を「事業」と「住居」両方の用途で使う場合は、不動産取得税を床面積の割合で按分するのが一般的です。

按分の割合は、以下のように求めることができます。
事業スペースの面積 ÷ 建物全体の面積

不動産取得税の計算式は、事業用と住居用で異なります。そのため、建物に占めるスペースの割合に応じて不動産取得税をそれぞれ計算し、合算する必要があるのです。

経費計上のタイミング

不動産取得税を経費として計上するタイミングは、以下のいずれかです。

・納税通知書が届いたとき
・不動産取得税を納めたとき

不動産取得税は、一括で納めなければなりません。しかし一括で納めることが難しい場合、税務署に相談すれば分納できる可能性もあります。

計上するタイミングの注意点

不動産取得税を計上するタイミングは「不動産を取得したときではない」という点に注意が必要です。納税通知書が未到着の場合は、経費として計上することはできません。

たとえば2023年11月に不動産を購入し、納税通知書が届く前に2024年を迎えたとします。この場合、不動産を取得したのは2023年ですが、2023年分の経費としては計上できません。2023年の時点で納税通知書が届いておらず、納付もしていないためです。

不動産取得税の納税通知書は、不動産を取得してから半年〜1年後に届きます。

参考:債務確定基準

ある事業年度における損金の額に算入する費用は、年度末までに債務が確定したものに限られます。これを「債務確定基準」といいます。

不動産取得税の場合は、都道府県から納税通知書が届いた時点で税額が確定するため、計上できるのは「納税通知書が届いた日が属する年度」ということになるのです。

計上するタイミングの例外

不動産業者が販売目的で不動産を取得した場合は、不動産取得税の金額が確定していない見積もりの段階で「売上原価」として計上できます。なぜなら不動産業者は「不動産の保有」を目的としておらず、不動産取得税は「売上原価に近いもの」と解釈されているからです。

しかし不動産業者は必ずしも「不動産取得税を売上原価として計上しなければならない」というわけではありません。計上するかどうかは、不動産業者次第ということです。

不動産所得税の申告・納付

この章では、不動産取得税の申告や納付について解説します。
申告しないことで発生するリスクについても、あわせて見ていきましょう。

申告

不動産取得税の申告では、以下のような書類を税務署に提出する必要があります。

・申告書
・登記事項証明書
・売買契約書
・最終代金領収書
・住民票

必要書類や申告期限は、取得した不動産の種類や用途、都道府県によって異なるため事前に確認しておきましょう。東京都の場合、不動産を取得してから30日以内に申告する必要があります。

申告しないとどうなる?

不動産取得税の申告をしないと、以下のようなリスクが伴います。

・税率軽減措置が適用されない
・過料が科される
・税率軽減措置が納税後に適用され、還付請求の手間がかかる

納めるべき不動産取得税については、本人が申告しなくても、都道府県は把握しています。余計な費用や手間が発生しないよう、忘れずに申告しましょう。

納付

不動産取得税の納付は、都道府県から送られてくる納税通知書を使用します。納付通知書には、納付期限や納付方法について記載されているため、届いたらすぐに確認しましょう。

都道府県によっては、現金以外にも以下のような方法で納付できます。

・クレジットカードで納付
・スマートフォンの決済アプリで納付

現金以外の納付には手数料がかかるケースもあるため、注意が必要です。

不動産取得税の消費税区分は?

不動産取得税に消費税は課税されません。不動産取得税そのものが税金であり、モノやサービスなどに支払う消費ではないからです。

不動産取得にまつわる消費税

不動産の取得にまつわる消費税は、取引内容によって異なります。
消費税が課税されない取引は、以下の2つです。

・土地の取得
・個人間売買による建物の取得

一方で、以下の項目や取引には消費税が課税されます。

・土地の仲介手数料
・建物の仲介手数料
・新築による建物の取得
・事業者との売買による建物の取得

売買には「売主」と「買主」がいますが、どちらか一方もしくはどちらも事業者である取引には、すべて消費税が課税されます。非課税となるのは、売主と買主がどちらも個人である「個人間売買」のケースです。

不動産取得税の勘定科目まとめ

不動産取得税について、この記事で解説したポイントをまとめます。

・勘定科目は「租税公課」が妥当
・相続以外で取得した不動産に課税される
・税額は都道府県が計算し、納税通知書によって確定する
・土地・建物の取得価額に含めなくて良い
・計算式は「土地か建物か」「事業用か住居用か」によって異なる
・取得した不動産が事業用の場合、経費計上できる
・経費計上できるタイミングは「納税通知書が届いたとき」または「実際に納付したとき」
・消費税は課税されない

税金や法律は、馴染みがないと難しく感じるものです。しかし自身に関係するポイントさえ押さえてしまえば、やるべきことが見えてきます。

申告を忘れてしまうとリスクが伴うため、気をつけてください。

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