2022.12.26
不動産の売却
土地売買の仲介手数料は高い!金額や値引きについて解説
土地を買ったり、売ったりする際の費用の1つに、仲介手数料があります。
仲介手数料がかかることは知っていても「いつ誰に、何のために、いくら支払うのか」を明確に説明できる人は多くありません。
手数料と聞くと、少しの金額を想像するかもしれませんが、意外と高く付きます。
例えば、1000万円の土地購入にかかる仲介手数料は39.6万円です。
この記事では、土地の売買における仲介手数料の金額や支払うタイミング、そもそも誰に対して何のために支払うのかについて解説します。
仲介手数料をゼロにする方法や、安く抑えるための値引き方法についても触れていますので、ぜひ最後までお読みください。
そもそも仲介手数料ってなに?
仲介手数料について、まずは以下の2点を確認しましょう。
●何のために支払うのか
●誰に支払うのか
仲介手数料は土地の買い手と売り手のどちらも支払う費用です。
買い手と売り手では仲介手数料の内容が異なるため、それぞれ解説していきます。
買い手が支払う仲介手数料
土地の買い手が支払う仲介手数料は、土地を探してもらったお礼として、不動産会社に対して支払います。
不動産会社は、土地購入の相談から引き渡しまでの間、買い手に代わって様々な手続きや事務処理をしてくれます。
また法律や税金、住宅ローンなどわからないことがあれば、プロの視点から教えてくれる心強い存在です。
不動産会社が対応してくれる主なことは、以下のとおりです。
●土地の希望条件の整理
●市場に出ている土地の中から希望条件に合うものを紹介
●気に入った土地の見学に同行
●契約業務(書類作成や購入代金の管理、重要事項説明など)
●土地の引き渡し時の立会い
なお、仲介手数料は成功報酬のため、売買契約が成立するまで支払う必要はありません。
売り手が支払う仲介手数料
売り手が支払う仲介手数料は、売却したい土地の買い手を見つけてもらったお礼として、不動産会社に対して支払います。
土地を売る際は、不動産会社と媒介契約を結び、買い手との間を取り持ってもらうのが一般的です。
不動産会社は土地の買い手を見つけるために、以下のような営業活動を行います。
●スーモなど一般向けの土地探しサイトに、土地の情報を掲載して広告する
●土地の近所の家などにチラシをポスティングする
●新聞折込に土地の情報を載せる
●既存の顧客に対して土地を紹介する
●不動産会社専用のデータベースに土地の情報を掲載し、他の不動産会社にも紹介してもらう
不動産会社専用のデータベースとは、不動産会社しか見ることが出来ない土地探しサイトのことです。
全国の不動産会社に土地の情報を発信することで、買い手を見つけやすくします。
無事に買い手が見つかった後にも、土地の案内や契約手続きなど、売り手に代わって多くの業務を負担してくれます。
それぞれの業務には広告費や人件費がかかるため、売買契約が成立した際には、お礼として仲介手数料を支払うのです。
買い手と売り手の不動産会社は必ずしも同じではない
土地の買い手が利用する不動産会社と、売り手が利用する不動産会社は、必ずしも同じではありません。
買い手と売り手がそれぞれ別の不動産会社を利用することを「片手仲介」と言います。
片手仲介の場合、不動産会社は自身が担当した顧客からしか仲介手数料を受領できません。
一方で、買い手と売り手が同じ不動産会社を利用することを「両手仲介」と言います。
両手仲介の場合、買い手と売り手は同じ不動産会社に仲介手数料を支払うため、不動産会社の報酬は片手仲介に比べて2倍になります。
片手仲介や両手仲介といった形態の違いは、顧客にはさほど関係ありません。
買い手と売り手の不動産会社は異なる場合があることだけ、頭に入れておきましょう。
仲介手数料の具体的な金額
不動産会社へのお礼として支払う仲介手数料について、具体的な金額を解説します。
仲介手数料は、宅地建物取引業法という法律により、金額の上限や計算方法が決められています。
土地の価格によって仲介手数料が決まるため、売却予定額や購入予算を想定しながら見ていきましょう。
仲介手数料の計算方法と上限額
仲介手数料の金額は、買い手も売り手も同じです。
売買される土地の価格によって、仲介手数料の計算式が変わります。
なお、土地の価格はすべて税抜きで計算します。
土地の価格 | 仲介手数料の計算式 |
200万円以下 | 土地の価格 × 5% + 消費税 |
200万円超〜400万円以下 | ( 土地の価格 × 4% + 2万円 ) + 消費税 |
400万円超 | ( 土地の価格 × 3% + 6万円 ) + 消費税 |
上記の式で計算される仲介手数料は、宅地建物取引業法で定められている上限額です。
不動産会社は上限額を超えない範囲で仲介手数料を設定しますが、基本的には上限いっぱいの額が請求されます。
万が一上限額を超える違法な仲介手数料を請求された場合は、国民生活センターや消費生活センターなどの相談窓口に相談しましょう。
仲介会社のシミュレーション
仲介手数料の計算式に基づいて、実際の金額をシミュレーションしてみます。
土地の価格 | 計算式 | 仲介手数料 |
200万円 | 200万円 × 0.05 × 1.1 | 11万円 |
400万円 | ( 400万円 × 0.04 + 2万円 ) × 1.1 | 19.8万円 |
1000万円 | ( 1000万円 × 0.03 + 6万円 ) × 1.1 | 39.6万円 |
3000万円 |
( 3000万円 × 0.03 + 6万円 ) × 1.1 | 105.6万円 |
実際に計算してみると、想像以上に高い金額になったのではないでしょうか。
消費税は10%で計算していますが、今後税率が上がると仲介手数料も高くなります。
土地の売買には消費税がかからない?
土地の売買取引には、消費税がかかりません。
例えば、土地と同時に家を購入する場合、消費税がかかるのは家のみです。
しかし仲介手数料の計算式を見ると、消費税がかけられていることがわかります。
仲介手数料は不動産会社が行うサービスに対して支払うため、課税対象となり消費税がかかるのです。
仲介手数料は契約成立後に支払う
仲介手数料は、土地の売買契約が成立した後に、不動産会社に対して支払います。
成功報酬であるため、土地購入の相談や土地見学だけの場合、仲介手数料はかかりません。
ここでは、仲介手数料を支払う具体的なタイミングと、支払い方法について解説します。
買い手が仲介手数料を支払うタイミング
土地の買い手が仲介手数料を支払うタイミングは、契約書にサインして土地の売買契約を結んだ時です。
契約成立の証として手付金を支払う際に、あわせて仲介手数料も支払います。
不動産会社によっては、売買契約時に仲介手数料の半分を支払い、残りは土地の引き渡し時に支払うケースもあります。
仲介手数料とあわせて支払う手付金は、土地の価格の5%〜10%ほどが相場です。
例えば、1000万円の土地を購入した場合の手付金額は、50万円〜100万円になります。
土地の契約時には、他にも印紙代などの諸費用がかかるため、仲介手数料の金額や支払いのタイミングをあらかじめ確認しておくことが大切です。
売り手が仲介手数料を支払うタイミング
土地の売り手が仲介手数料を支払うタイミングは、買い手と同じく土地の売買契約を結んだ時です。
買い手から支払われる手付金を、仲介手数料に充てることもできます。
買い手と同様に、売買契約時と土地の引き渡し時で、仲介手数料の支払いが分けられるケースもあります。
土地の引き渡し時に支払う仲介手数料は、買い手から受け取る土地の代金から支払うことが可能です。
仲介手数料は現金支払いが一般的
仲介手数料は一般的に現金で支払います。
銀行振込やクレジットカード決済、QRコード決済を取り入れている不動産会社もありますが、数は少ないです。
土地の売買における仲介手数料は金額が大きく、現金支払い以外だと着金までに時間がかかるため、トラブルが起きるリスクがあります。
このような背景から、キャッシュレス化はあまり進んでいません。
現金以外で支払う場合、振込や決済に手数料がかかることもあるため、事前に確認しておきましょう。
仲介手数料を抑える方法
土地の売買にかかる費用を少しでも抑えたいと考える人は少なくありません。
ここでは仲介手数料をゼロにする、もしくは安くする方法を紹介します。
【買い手】自力で土地を探す
土地の買い手は、不動産会社に相談せず自力で土地を探して購入することで、仲介手数料をゼロにできます。
自力で土地を探す方法としては、スーモやアットホームといった一般向けの土地探しサイトを利用するのが一般的です。
一般向けサイトのメリットは、全国の土地情報が掲載されており情報量が多いことです。
しかし、不動産会社が利用している「不動産会社専用のデータベース」と比べると、情報量や情報の新鮮さの面で劣ります。
不動産会社に土地探しを相談している人の方が、新鮮で豊富な土地情報を手に入れることができるのです。
土地探しサイト以外で土地を探すには、以下の方法もあります。
●希望エリアに足を運んで、売り出されている土地を探す
●人脈を使い、土地を売りに出している人を紹介してもらう
個人の場合は、土地のネットワークや営業力に限界があるため、良い土地を見つけて購入するまでにどうしても時間がかかってしまいます。
また契約などの手続きには、不動産の知識だけでなく法律の知識も必要なため、個人で行うとトラブルが起きやすいのもデメリットです。
【売り手】自力で土地の買い手を探す
土地の売り手は、不動産会社に依頼せずに自力で土地の買い手を探すことで、仲介手数料をゼロにできます。
しかし買い手と同様に、土地のネットワークや不動産に関する知識を持たない場合は、売買の難易度やリスクが高くなるでしょう。
契約書の作成や代金のやり取りなど、様々な手続きをすべて自分で行うとなると、大きな負担もかかります。
また不動産会社は、買付証明書に記載されている条件の調整や交渉を引き受けてくれます。
買付証明書とは、買い手が土地購入の意思表示として提出するもので、以下の項目において希望条件が記載されていることが多いです。
●売買金額
●売買契約日
●手付金の額
●支払い方法
●特約の有無
手続きのスムーズさや取り引きの安全性を考えると、不動産会社に依頼して仲介手数料を支払う方が安く済む可能性が高いです。
【買い手・売り手】相見積もりを取って値引き交渉をする
仲介手数料の値引き交渉には、複数の不動産会社から見積もりを取って比較することが有効です。
同じ条件の依頼でも、不動産会社によって異なる仲介手数料が提示されるでしょう。
仲介手数料には上限額が定められていますが、減額するぶんには問題ありません。
漠然と仲介手数料の値引きをお願いするよりも「A社は〇〇万円だから、これよりも安くしてもらえないか」と持ちかけることで、交渉に応じてもらえる可能性が高まります。
しかし、過度な値引き交渉は避けましょう。
不動産会社は広告費や人件費をかけ、専門知識を駆使して土地の売買を手伝ってくれます。
仲介手数料は、買い手や売り手の代わりに多くの業務を負担する対価なので、値引き交渉に対する印象はよくありません。
不動産会社の担当者も人間ですので、値引き交渉をされることでモチベーションが下がってしまう可能性もあります。
ビジネスの観点では、会社の利益が高くなる顧客が優先されます。
値引きをしてもらったうえで、土地の売買を最大限にサポートしてもらうためには、交渉術も必要なのです。
また、複数の不動産会社の見積もりを比較して、仲介手数料が安いところを選ぶという手もあります。
この場合は、不動産会社からの提示額を受け入れることになるため、交渉する必要はありません。
まとめ【仲介手数料は必要な経費】
不動産会社は、土地を買いたい人や売りたい人をサポートしてくれます。
仲介手数料はその対価として支払うため、必要な経費だと言えるでしょう。
土地の売買には多くの法律が関係しており、複雑な手続きも多いため、個人間で取り引きをするのはリスクが高いです。
安全かつスムーズな取り引きのためにも、土地売買のプロである不動産会社に仲介を依頼することが賢明です。
土地の売買にかかる費用は少しでも抑えたいところですが、仲介手数料の安い不動産会社ではなく、安心して土地の売買を任せられる不動産会社を選んでください。