2023.05.19
土地の購入
【土地の所有者を知りたい!】調べ方についてわかりやすく解説
マイホームを建てるための土地を探していると、偶然通りかかったところに理想的な土地が見つかることがあります。しかし土地に「売地」の看板がなく、インターネット上にも売却の情報が出ていない場合、購入できるか否かがわかりません。
このような場合、土地の所有者を調べることで、購入についての話を進めることができます。
この記事では、以下のポイントについて解説します。
・土地所有者の調べ方
・土地所有者を調べる際に必要な情報・費用
・土地所有者が判明したらどうすれば良いのか
・土地を購入する際の注意点
希望条件に合う土地を購入するためには、すぐに諦めることなく、適切な行動をしましょう。
土地所有者の調べ方
土地の所有者を調べる方法は、以下のいずれかです。
・登記簿謄本を取得する
・登記情報提供サービスを利用する
この章では、登記簿謄本と登記情報提供サービスの基礎知識について解説します。
登記簿謄本とは何か
登記簿謄本とは、不動産の情報が記載されたものです。
法務局が管理しており「登記事項証明書」とも呼ばれます。
登記簿謄本と登記事項証明書の内容は同じですが、以下の違いがあります。
・登記簿謄本:帳簿に記載してある不動産の情報を写したもの
・登記事項証明書:データ保存されている不動産の情報を印刷したもの
登記簿謄本は一般公開されているため、不動産の所有者本人や所有者の親族以外でも取得可能です。
登記簿謄本に記載されている項目
登記簿謄本には、以下のような項目が記載されています。
・不動産の所有者
・不動産の所在地
・所有権に関すること
・抵当権に関すること
情報に下線が引かれている場合は「過去に抹消または変更されており、現在は無効である」という意味です。
登記簿謄本の取得方法
登記簿謄本は、以下の方法で取得できます。
・法務局の窓口で請求する
・オンライン申請を利用する
・郵送で請求する
それぞれの特徴は以下のとおりです。
法務局の窓口で請求する
登記簿謄本を法務局の窓口で請求する場合、所有者を調べたい土地を管轄する法務局に行く必要があります。法務局にある書類に必要な情報を記入して、窓口に提出しましょう。
ただ、土地を管轄する法務局が「不動産登記情報交換サービス」の対象となっている場合は、どこの法務局でも登記簿謄本を取得できます。不動産登記情報交換サービスとは、別の法務局にある登記情報を閲覧できるシステムのことです。
法務局の窓口が開いているのは、平日の8時30分〜17時15分です。
オンライン申請を利用する
オンライン申請とは、登記簿謄本の交付をオンラインで申請し、郵送で受け取ることです。
近くにある法務局の窓口でも受け取ることができます。
オンライン申請の受付時間は、平日の8時30分〜21時です。
窓口よりも遅くまで対応してもらえます。
「登記・供託オンライン申請システム 登記ねっと 供託ねっと」のサイトから、申請が可能です。
郵送で請求する
登記簿謄本を郵送で請求し、郵送で受け取ることも可能です。
請求する際には、所有者を調べたい土地を管轄する法務局に、以下を郵送する必要があります。
・交付申請書
・手数料
・切手を貼り付けた返送用の封筒
交付申請書は、法務局のホームページからダウンロード可能です。
手数料は、必要な額の収入印紙を郵便局で購入し、申請書に貼り付けて納めます。
上記が法務局に届くことで、登記簿謄本を返送してもらえる仕組みです。
登記情報提供サービスとは何か
登記情報提供サービスとは、不動産の登記情報をインターネット上で見られるサービスのことです。
法務局から登記業務などの委託を受けている「一般財団法人 民事法務協会」が運営しています。
登記簿謄本と同じ情報をPDFファイルで受け取れますが、証明文や公印は付いていません。
登記情報提供サービスは、登記簿謄本を取得するためではなく、登記情報を閲覧するためのサービスなのです。
登記情報提供サービスのサイトにアクセスすることで、登記情報を確認できます。
サービスを利用できる時間は、年末年始(12月29日〜1月3日)を除き、以下のとおりです。
・平日:8時30分〜23時
・土日祝日:8時30分〜18時
土地所有者を調べる際に必要な情報・費用
先に述べたように、土地の所有者を調べる方法は、登記簿謄本の取得または登記情報提供サービスの利用です。しかし「住居表示」と「地番」がわからないと、土地の所有者を調べることはできません。
この章では、住居表示と地番の意味や、調べ方について解説します。
土地の所有者を調べる際にかかる費用についても、あわせて見ていきましょう。
住居表示とは
住居表示とは、土地や建物の市区町村名や丁目、番地などを指します。
普段使用している住所と同じ意味です。
所有者を調べたい土地をグーグルマップ上でクリックすると、住居表示(住所)がわかります。
住居表示は、不動産の場所を特定するために必要な情報です。
「住居表示に関する法律」に従い、市区町村によって定められています。
地番とは
地番とは、土地ごとに付けられた番号のことです。
土地の場所や権利の範囲を特定するために、法務局によって定められています。
地番は、住居表示を基に調べます。
そのため、住居表示を確認したうえで、以下いずれかの方法で調べましょう。
・土地を管轄している法務局に電話して聞く
・ブルーマップで調べる
・登記情報提供サービスで調べる
ブルーマップとは、地図上に地番の情報が記載されたものです。
法務局や国立図書館などで見ることができます。
登記情報提供サービスの「地番検索サービス」では、無料で地番の検索が可能です。
また、土地ではなく建物ごとに付けられた番号のことを「家屋番号」といいます。
登記簿謄本を取得する際の費用
登記簿謄本を取得する際にかかる手数料は、以下のとおりです。
・法務局の窓口で請求:600円
・郵送で請求(郵送で受け取り):600円
・オンラインで申請(郵送で受け取り):500円
・オンラインで申請(窓口で受け取り):480円
郵送で請求する場合は手数料に加えて、返送用の封筒と、封筒に貼り付ける切手の代金がかかります。
切手の値段は、1通あたり84円が目安です。封筒は100円ショップなどで購入できます。
登記情報提供サービスを利用する際の費用
登記情報提供サービスを利用する際には、利用料がかかります。取得する情報によって利用料が異なり、土地の所有者を知りたい場合は、以下いずれかの取得が必要です。
・全部事項:322円
・所有者事項:142円
全部事項には、所有者の住所と氏名に加えて、不動産の権利に関する情報なども記載されています。
登記簿謄本と同じような内容です。
所有者事項には、所有者の住所と氏名、持分が記載されています。
持分とは、所有者が持つ所有権の割合のことです。
土地所有者が判明したらどうすれば良いのか
土地の所有者が判明したら、近くの不動産会社に相談しましょう。
登記簿謄本に書いてある所有者の住所に手紙を出し、コンタクトを取ることもできますが、おすすめしません。
なぜなら、土地の売買契約を個人でおこなうのは難易度が高く、トラブルが起きやすいためです。
さらに知らない人からいきなり連絡が来ると、所有者は身構えてしまいます。
所有者にコンタクトを取る段階から不動産会社に任せることで、スムーズかつ正確に土地取引の話を進めることができます。
土地を購入する際の注意点
土地の所有者とコンタクトが取れた場合、売却してもらえる可能性があります。
土地を購入する際には、立地や購入条件だけでなく、以下のポイントにも注意してください。
・土地の形
・ハザードマップ
・北側斜線制限
・建ぺい率
・建築協定
それぞれ詳しく解説していきます。
土地の形
土地の形が三角形だったり、いびつだったりする場合、デメリットが生じます。
たとえば家を建てるときには、ハウスメーカーの規格が土地の形に合わず、追加料金がかかる可能性があります。土地の形に合わせた設計や施工をおこなわなければならないためです。
また家を建てづらいことから、土地を売却する際の価格が低くなる傾向にあります。
家の設計上、土地にデットスペースができやすい点もデメリットの1つです。
四角形以外の形をしている土地は、デメリットもあわせて検討しましょう。
ハザードマップ
土地を購入して家を建てるにあたって、ハザードマップの確認は大切です。
ハザードマップは、地震などの自然災害が起きた際の危険度を、地図上で表しています。
ハザードマップは複数の種類があり、以下のような災害ごとに作られています。
・洪水
・高潮
・津波
・土砂災害
・火山の噴火
・地震
・ため池や内水の氾濫
ハザードマップにおける危険度が高い土地に考えられる被害は、以下のとおりです。
・川が氾濫した際に家が流されてしまう
・地震で土地の液状化が起きた際に、家が傾いてしまう
・大雨で近くの山が崩れ、家が土砂に埋もれてしまう
危険度が高く、地震や大雨のたびに避難勧告が出されるような地域に住むと、負担や不安が大きくなります。
ハザードマップは、国土交通省が運営する「ハザードマップポータルサイト」から確認が可能です。
北側斜線制限
北側斜線制限とは、家の北側に面した部分に、高さの制限がかかる法律のことです。建築基準法に基づいて定められています。
北側斜線制限の目的は、北側にある隣家の日当たりや風通しの確保です。購入した土地に北側斜線制限がある場合、高さの制限に合わせて、以下のような対応をしなければなりません。
・屋根を斜めにする
・2階の面積を1階よりも小さくする
・平屋にする
家の高さを制限する法律としては、北側斜線制限のほかにも「道路斜線制限」が挙げられます。
道路斜線制限は、道路の日当たりや風通しの確保を目的としており、家の道路に面した部分に高さの制限がかかります。
希望する形の家を建てられない可能性があるため、北側斜線制限や道路斜線制限について、事前に確認しておきましょう。
建ぺい率
建ぺい率は「土地に建てられる家の面積の上限」を決める重要なポイントです。
たとえば、100㎡の土地で建ぺい率が50%の場合、その土地に建てられる家の面積は50㎡までとなります。つまり、土地には余白を持たせなければならないのです。
建ぺい率は建築基準法によって定められており、日当たりや風通しの確保、防火対策を目的としています。土地の面積と建ぺい率から、希望する大きさの家が建てられるか否かを確認しておきましょう。
建築協定
土地がある地域に建築協定が定められている場合、注意が必要です。建築協定とは、街並みの統一や環境保全などを目的として、地域で定められているルールのことです。
建築協定によって、以下のようなものが制限される可能性があります。
・家の外壁のデザイン
・家の高さ
・屋根の形
・建ぺい率
ルールによっては家のデザインなどを妥協しなければならないため、建築協定の内容を確認したうえで、土地を購入することが大切です。
土地所有者の調べ方|まとめ
土地の所有者は、登記簿謄本を取得する、または登記情報提供サービスを利用することで調べることができます。
登記簿謄本とは、不動産の所有者や住所、権利などの情報が記載されているものです。登記事項証明書とも呼ばれており、法務局に請求して取得します。
登記情報提供サービスとは、インターネット上で不動産の情報を閲覧できるサービスのことです。
謄本取得やサービス利用には、手数料や利用料がかかります。
また土地の所有者を調べる際には、土地の住居表示と地番が必要です。
土地の所有者が判明したら、直接コンタクトを取るのではなく、近くの不動産会社に相談してください。個人間の土地取引にはデメリットが多いためです。
この記事で解説した「土地を購入する際の注意点」も参考にして、後悔のない土地を手に入れましょう。