2024.02.12
コラム
【不動産を相続したら・・・相続税はどのように決まる?】
今後、ご両親や配偶者が所有していた土地や建物といった不動産を相続することになった際、相続するにあたってはどのような手続きがあるのか、また税金はどの程度かかってくるのかなど、気になるところだと思います。まだまだ先のことと遠い未来のように感じていても、その時は突然やってくるかも知れません。
今回は、相続に関する様々な事項のうち、相続するにあたってかかってくる税金である「相続税」について、その計算方法を中心に説明していきたいと思います。
■相続税の計算方法とは?
ご自身が相続人となり、遺産を受け取るとなると、その相続されたものに対し、相続税が課せられることになります。相続税を計算するにあっては、まずは遺産の全てから合計額を算出しなければなりません。
生命保険金などは非課税枠があり、遺産の合計額(財産額)から非課税額を差し引いた金額に対して相続税がかかります。その非課税額を控除された財産額からさらに基礎控除額を差し引いたものに税率を掛けることで相続税額が求められます。
※ただし、生前贈与加算の対象の贈与や相続時精算課税制度などを利用していた場合はその贈与額が加算されます。
※配偶者控除など、税負担を軽減できる制度もあります。
「基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数 」
基礎控除額を超えてしまうと税金が発生してしまいますが、基礎控除額を超えるほどの多額な財産が残されていない限りは申告する必要がありません。
※相続税がかからなくても申告しなければいけないケースもありますのでご注意下さい。
土地や建物といった物件を遺すと、その金額が基礎控除額を上回ってしまう可能性がありますので、そういったケースでは一応調べておいた方が良いでしょう。
ただし、不動産を遺すことは節税対策にもなると言われていることもあります。その理由は土地や建物が時価での計算ではなく、固定資産台帳や路線価によって算出されることになるからで、金銭や有価証券を継ぐよりも不動産を継いだ方が、発生する税金が少なくて済むというケースが多いからだと思います。
また、不動産の相続税は路線価方式と倍率方式の2通りの計算が可能となっています。
■路線価方式の計算方法は?(土地の場合)
路線価とは土地に面する道路に定められている価格を指し、この路線価によって土地の価格を評価することを路線価方式と呼びます。
路線価方式の計算方法は、「路線価×土地面積×各種補正率」で求められます。
特殊な宅地における土地の評価については、適宜補正を入れられた上で算出されることになります。特殊な宅地とは、間口が狭い、奥行きが長く大きい、宅地が整形されていない、建築基準法によって建築物を後退させなければならない場合や私道に隣接しているといったケースを指します。
■倍率方式の計算方法は?(土地の場合)
倍率方式は路線価が付けられていない場所の土地の評価を行う際に用いられる計算方法となります。
この場合、固定資産税評価額を用いることによって評価が下されることになり、計算式は「土地の評価額=固定資産税評価額×国税局長が地域ごとに定める倍率」となります。ここで用いられる固定資産税評価額は3年ごとに改定されることになりますので、時価に近い評価額が加えられることが予想されます。
相続税における土地の評価額は、倍率方式や路線価方式によって求められた価格のだいたい80%程度として計算されることが多く、評価が低く見積もられるからこそ節税対策としても有効とされているのです。正式な評価額についてはきちんと計算する必要がありますが、これらの方法を用いれば、だいたいどの程度の税金が発生するのかが予想できるのではないでしょうか。
■家屋(建物)の計算方法は?
家屋(建物)と言っても、いくつかのケースがあり、そのケースによって相続税評価額の計算方法が異なりますが、どのケースも固定資産税評価額がベースとなります。
実際に被相続人自らが住んでいた場合の家屋(建物)の評価額は、固定資産税評価額と同額となりますが、賃貸アパートを所有している場合や第三者に貸している場合などはそれぞれ計算方法が異なります。
土地の固定資産税評価額は、毎年1月1日時点の評価額(3年ごとに評価替え)をもとに算出されるため、世の中の景気や土地の情勢(近隣に駅ができたなど)により変動があるのに対し、建物の固定資産税評価額は、一般的には築年数が経てば経つほど、評価が下がるとされています。
※増改築などをすると価値が上がる可能性があります。