2024.04.29
コラム
23年首都圏分譲戸建て データ白書
東京カンテイが1月31日に発表した「マンション・一戸建て住宅 データ白書」によると、首都圏における新築戸建て住宅の23年の平均価格は前年比5.4%上昇の4769万円となり、15年の調査開始以来、3年連続で最高額を更新しました。同圏域の新築マンションの一戸平均価格は23年に8094万円で前年比30.9%上昇したことと比較すると、マンションの価格上昇が前年から逆転して上回る結果となりました。なお、新築マンション価格の上昇については高額物件の分譲による影響が大きく、同社では「24年にこれを超える価格上昇が起こるとは考えにくい」とします。
23年の全国の新規供給戸数は、新築マンション分譲戸数が7万4964戸で前年比16.7%の減少となったのに対し、新築分譲戸建ては11万5685戸(前年比1.3%増)で増加。首都圏では23年に5万4993戸(同9.0%増)が分譲され、4年連続の減少から大きく増加に転じました。同社では「物価上昇の影響は一戸建て・マンションともに及んでいるが、マンションはより供給立地が絞られ価格が高騰した結果、実需層の一戸建てへのシフトが進んだ」との見方を示します。
なお、首都圏の新築戸建て供給数及び価格がプラスとなる中で、23年の平均土地面積は113.6平米(前年比2.4%マイナス)、平均建物面積は98.4平米(同0.6%マイナス)で、前年から連続して縮小しました。
一方、中古戸建て住宅は23年に全国で8万5217戸(同17.3%増)が流通しました。首都圏では3万750戸(同15.9%増)が流通し、コロナ禍の20~22年を上回る水準となりました。
このうち首都圏の中古戸建ての平均価格は4016万円で前年比2.5%上昇。首都圏の中古マンションの一戸平均価格が4270万円で前年比4.5%上昇したことと比べると、どちらも連続上昇ではありますが、中古戸建ての上昇率は縮小しました。平均土地面積は126.7平米(前年比0.9%プラス)、平均建物面積は99.9平米(同0.2%プラス)といずれも拡大が続きました。これは、縮小する新築戸建て住宅とまったく逆の傾向を示しており、首都圏以外の近畿圏、中部圏でも確認されました。同社では、「高騰するマンションから分譲戸建てに需要が移りつつも、新築戸建ての供給サイドでは、広くて割安な戸建て住宅を求める実需層のニーズとズレが生じている」と指摘します。
首都圏行政区の中で23年に新築戸建てが最も分譲されたのは埼玉県川口市の1503戸(22年は1382戸)で4年連続1位。2位は東京都八王子市の1190戸(同885戸)、3位は東京都練馬区の1136戸(同961戸)となるなど、年間1000戸以上供給された都市は22年の2から6へ増加しました。