恵比寿で始まる、賢い不動産仲介のスタイル

2024.07.29

コラム

ハザードマップを解説!水防法とは…

近年、大規模な災害が毎年のように発生し、甚大な被害をもたらしています。不動産購入や賃貸の意思決定を行ううえでも、水害等のリスクについての情報が重要な要素となってきました。

平成29年に水防法等が改正され、施行されたのに伴い、宅地建物取引業法施行令も改正されました。 売買契約締結前の重要事項説明において、水防法についての説明が義務化されています。宅地建物取引業者は、ハザードマップを提示し、そのマップ内における対象不動産の位置や避難場所等についての説明を行いますが、水害ハザードマップの詳細な説明までは義務付けられておりません。

ここでは、不動産の取引において重要事項説明で説明されるハザードマップの内容について解説していきます。

まず、ハザードマップと呼ばれるものには主に以下のような種類があります。

◆洪水ハザードマップ

◆雨水出水(内水)ハザードマップ

◆高潮ハザードマップ

◆土砂災害ハザードマップ

◆津波ハザードマップ

◆火山ハザードマップ

上記の中で、重要事項説明時に説明が必要とされるハザードマップは、『水防法に基づき市町村が作成する水害ハザードマップ』とされています。

1.水防法に基づき作成されたハザードマップとは

水防法に基づき市町村によって作成された水害ハザードマップとは、『洪水・雨水出水・高潮』の3種類のマップを指します。

水害の発生を警戒し、土のうなどで水があふれるのを防ぐことを「水防」と呼び、その水防の仕組みを定めた法律が『水防法』です。この水防法の規定によって国土交通省又は都道府県知事が指定した河川が氾濫した場合に浸水が想定される区域が「洪水浸水想定区域」となります。この洪水浸水想定区域及び浸水した場合に想定される水深を表示し、市町村地域防災計画において定められた必要事項等を記載した図面が洪水ハザードマップとなります。

その他、水防法には想定最大規模降雨(水防法第14条に基づき国土交通大臣が定める基準)や雨水出水浸水想定区域などが定められております。※想定最大規模降雨とは、1000年に1回程度の確率で降る、最大規模の降雨のことです。1000 年毎に1回発生する周期的な降雨ではなく、1年の間に発生する確率が 1/1000(0.1%)以下の降雨です。

一方で、水防法に基づかずに、市町村の調査などによって作成されるハザードマップや、水防法以外の規定の基づくハザードマップを作成している自治体もあります。宅地建物取引業法において、それらのハザードマップについての説明は求めておりませんが、自治体から説明をするのが望ましいとされています。

2.種類別ハザードマップの特徴

◆洪水ハザードマップ

国土交通省及び都道府県が指定した河川が、想定し得る最大規模の降雨により氾濫した場合に浸水が想定される区域(洪水浸水想定区域)及び浸水した場合に想定される水深、浸水継続時間を『洪水浸水想定区域図』とし、国土交通省や都道府県によって作成されたその『洪水浸水想定区域図』に洪水予報等の伝達方法や避難場所、その他洪水時の円滑で迅速な避難の確保を図るための必要事項等を記載したものを『洪水ハザードマップ』として市町村が作成しています。

洪水浸水想定区域の指定の前提となる降雨については、各河川管理者が公表している洪水浸水想定区域図をご確認下さい。尚、東京都では、「洪水浸水想定区域図」と「浸水予想区域図」という2種類の図面を作成しており、それぞれの区域図の違いは以下の通りとなります。

【洪水浸水予想区域図】表示内容…外水氾濫 作成主体…東京都 対象降雨…想定最大規模の降雨 根拠法令…水防法第14条第2項

【浸水予想区域図】表示内容…外水氾濫+内水氾濫 作成主体…都市型水害対策連絡会 対象降雨…想定最大規模の降雨 根拠法令…なし

◆雨水出水(内水)ハザードマップ

雨水出水(内水)ハザードマップとは、一時的に大量の降雨が生じた場合において下水道その他の排水施設及び河川その他の公共水域に雨水を排水出来ないことにより発生する浸水被害をシミュレーションしたもので、過去の浸水実績や地形情報等を活用した想定区域の作成も可能とされております。洪水ハザードマップが対象となる河川堤防の決壊や溢水、津波・高潮によるものは含まれません。また、水防法に基づく「雨水出水浸水想定区域」の指定がなくても、多くの市町村では独自調査により「内水浸水想定区域図」を作成し、公表しています。

◆高潮ハザードマップ

高潮とは、台風など強い低気圧によって、波が高くなり海面の水位も上昇することをいいます。平成27年に水防法が改正され、想定し得る最大規模の高潮に係る浸水想定区域を公表する制度や、高潮による氾濫が起こった際の市町村の避難勧告発令判断や住民の避難判断に役立てるよう、水位周知海岸制度が創設されました。浸水区域に係る制度では、都道府県が相当な被害が想定される海岸において、最大規模の高潮が発生した場合の高潮浸水想定区域を指定し、それに基づいて市区町村作成したものが高潮ハザードマップです。

◆土砂災害ハザードマップ

土砂災害とは、台風や大雨、長時間の雨による地盤のゆるみ、地震などの影響で土石流、がけ崩れ(急傾斜地の崩壊)、地滑りを引き起こします。土砂災害防止法に基づき、都道府県によって「土砂災害警戒区域(通称:イエローゾーン)」及び「土砂災害特別警戒区域(通称:レッドゾーン)」が指定されます。市区町村によって、その区域と避難に関する事項を追記して作成されたものが土砂災害ハザードマップです。

◆津波ハザードマップ

津波ハザードマップは、津波が発生した際にその地域の住民が迅速に避難できるようにするためのものです。浸水範囲や避難場所・避難路などが記されており、津波が起こる前はどのように逃げたらよいか、また避難をする段階においても様々な情報が提供されています。津波ハザードマップは、都道府県が作成した津波浸水予想図を基に、市区町村が避難に関する事項を追記して作成しています。

◆火山ハザードマップ

火山災害の要因である大きな噴石、火砕流、融雪型火山泥流等の影響が及ぶおそれのある範囲を地図上に特定し、防災上必要な情報を追記したものが火山ハザードマップです。災害要因実績図は、科学的な調査研究を基に過去に発生した災害要因の影響が及ぶ範囲を示しています。

3.ハザードマップを活用しよう

上記で紹介したハザードマップ以外にも、「地震危険度ハザードマップ」や「ため池ハザードマップ」などがあります。自分が住む地域にはどんな危険性があって、そしてどんな対策をして、避難方法はどうであるのかを、事前に知ることはとても大切なことです。

ただし、例えば洪水ハザードマップにおいて浸水想定区域に該当しているからと言って、直ちにその土地の購入を諦めた方が良いというわけではありません。事前に知るということは、万が一に備えて予め対策を講じることができるということです。建築する際にも工夫することができますし、行政や地域ぐるみで対策を講じている場所もあります。避難時のシミュレーションを行うなど防災に対する意識を高めておくことは、万が一に備えてとても大切なことです。反対に、ハザードマップに該当がないからと言って、何も起きないと高を括るのも危険です。当該地に浸水想定区域等の該当がなくても、周辺が該当している場合もあり、ハザードマップはあくまで目安でしかありません。災害による被害が必ず起こるとも起こらないとも限りません。自分の住む地域はどんな地域なのか、防災の観点から一度確かめてみることをお勧めいたします。

 

*参考サイト↓↓

【国土交通省】

・洪水浸水想定区域図・洪水ハザードマップ:https://www.mlit.go.jp/river/bousai/main/saigai/tisiki/syozaiti/

・下水道による内水浸水対策について:https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/mizukokudo_sewerage_tk_000698.html

・高潮防災のために:https://www.mlit.go.jp/river/kaigan/main/kaigandukuri/takashiobousai/index.html

・土砂災害に関する最新の防災情報:https://www.mlit.go.jp/river/sabo/topics/dosyasaigai.html

・津波防災のために:https://www.mlit.go.jp/river/kaigan/main/kaigandukuri/tsunamibousai/

・ハザードマップポータルサイト:https://disaportal.gsi.go.jp/

【内閣府】

・火山ポータル:https://www.bousai.go.jp/kazan/kazanportal/mlit.html

【東京都建設局】https://www.kensetsu.metro.tokyo.lg.jp/jigyo/river/chusho_seibi/index/menu02.html

 

 

 

 

 

CONTACT 住まいの無料相談

一番上に戻る

営業電は0!住宅購入のプロに相談しよう