2024.04.15
コラム
悩みやトラブル別に解決方法をご紹介 不動産に関する相談先とは
不動産に関する悩みやトラブルは多種多様であるため、いざという時に、誰にどこに相談すればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
例えば、部屋を借りていて何かトラブルに見舞われたとき、最初に相談するのは管理会社となりますが、その管理会社が適切な対応をしてくれなかった場合や管理会社が働きかけても解決に至らない場合や、不動産の売買時に売主業者や仲介会社とトラブルになることもあるかもしれません。
また、相続や贈与などで手続きが必要となった場合、ご自身で法務局へ行き、手続きを行うこともできますが、慣れない手続きには手間や労力がかかることもあるのではないでしょうか。
本記事では、この様々な不動産における悩みやトラブルが起こった際に、「どこに」「誰に」相談するのが良いのか解説していきます。
1.不動産の取引や契約に関しての相談は…
不動産の取引(賃貸・売買)にトラブルが起きた場合は、仲介をしている不動産会社が加入している協会に相談することができます。
不動産会社が加入する協会は、「(公社)全国宅地建物取引業保証協会」もしくは「(公社)不動産保証協会」のどちらかになります。※営業保証金を直接、法務局に供託している不動産会社は協会には加入していません。
それぞれに相談窓口等が設けられており、契約内容についての相談やトラブルについての相談したい場合に利用することができます。対象の不動産会社がどちらの協会に加入しているのか確認しておきましょう。
(1)公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会
宅地建物取引業保証協会は、不動産会社と一般消費者との間で生じたトラブルについて解決することを目的として、「不動産無料相談所」を設けております。
不動産無料相談所は、全国47都道府県に設置されておりますが、都道府県により相談可能日時等が異なりますので、あらかじめお電話などで確認しておくのをおすすめします。
【(公社)全国宅地建物取引業保証協会『都道府県宅建協会・不動産無料相談所一覧』】
https://www.zentaku.or.jp/association_list/
(2)公益社団法人不動産保証協会
不動産保証協会では、それぞれの地方本部にて一般消費者からの苦情の申出を受け付けております。消費者からの相談内容に対しては、「取引相談委員会」を通じて、迅速な問題解決に向けて協議や斡旋を行ってもらえます。
【参照:(公社)全日本不動産協会『苦情の解決業務』】
https://www.fudousanhosho.or.jp/admission/complaint/
【(公社)全日本不動産協会『地方本部一覧』】
https://www.zennichi.or.jp/about/address/chihou/
(3)弁護士に相談する
不動産の取引においてトラブルが生じた場合、まずは関係する協会に相談をすることが第一ですが、それだけでは解決しないケースもあります。協会自体、トラブルを専門に扱っているわけではなく、また、中立な立場での一般的な対応しかできないこともあり、十分なサポートが受けられない可能性があります。
法律的な解決を望む場合や、トラブル自体が複雑化している場合など、当事者同士での解決や協会への相談だけでは問題解決が難しい場合には、弁護士に相談するのが確実です。特に不動産トラブルに関して経験が豊富な弁護士を探すとよりスムーズに問題解決に向けて進むことができるでしょう。
2.賃貸物件でトラブルが生じたら…
賃貸物件のトラブルと言えば、室内で起きた水漏れなどのトラブルや設備故障、隣接住戸及び近隣住民との騒音トラブル、退去時の敷金返還に関するトラブル等があげれらます。
それぞれの主な相談先について解説します。
(1)入居中のトラブル
賃貸物件で起きたトラブルについては、まずは管理会社もしくは大家さんへ相談しましょう。
何かトラブルが起きた場合に、決して自分だけで解決しようとはせずに、管理会社や大家さんへ相談することが大切です。
水漏れは主に水回りで発生しますが、床下や床上の配管で発生していることも多く、実際に天井からの水漏れや下の階の住民からの報告がないと発見しづらい場合もあります。その場合は、ご自身で解決しようとはせずに必ず管理会社等へ連絡し、対応してもらうようにしましょう。同様にご自身の過失により水漏れが発生した場合でも必ず管理会社等へ報告しましょう。また、設備故障とも言えますが、エアコンなどから水漏れが発生することもあります。エアコン自体使えているからと放置しておくと床や壁のカビ・シミの原因になり、退去時に原状回復費用(補修費用)を請求される可能性もありますので、必ず水漏れや設備故障は発生した時点で必ず敏速に連絡することが重要です。
賃貸アパート・マンションでは、さまざまな職業・年齢・生活リズムの人が集まって暮らしているため、生活音・騒音トラブルは、よくあるトラブルの1つです。当事者間で解決しようとすると、お互いに感情的になってしまって余計に話がこじれてしまう可能性もあるので、他の住民とのトラブル解決のためには、まずは物件の管理会社に連絡して、間に入ってもらうようにするのをおすすめします。
(2)退去時のトラブル
退去時には、敷金の返還と原状回復費用についてのトラブルが多くあります。
賃貸借契約書において、退去の際に室内を元の状態に戻す「原状回復費用」は借主が負担すると定められていることが一般的です。元の状態とは、あくまで入居した時の状態であって、入居時にすでにあったキズや汚れに対する修復費用は負担する必要がなく、まして新品の状態にする必要はありません。
ところが、なかには不当に高額なハウスクリーニング費用を請求され、本来返ってくるはずの敷金が返ってこないというトラブルも少なくありません。
不必要な退去費用の請求を受けないためには、まずは賃貸借契約書の内容しっかりと確認し、内容を理解する必要があります。契約書には、退去時の修繕・修復費用について、貸主と借主がそれぞれどこの範囲まで負担すべきなのかということが定められています。しかし、条文が曖昧な場合や、契約締結時の取り決め事態に問題のあるケースもあります。原則として、原状回復費用の負担割合は、賃貸借契約書の取り決めに沿って決定されますが、国土交通省が公開している『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を参考にしながら、管理会社や貸主と話し合うことが必要です。
それでも折り合いがつかない場合は、第三者に相談するのをおすすめします。宅地建物取引業免許の統括をしている国土交通省をはじめ、不動産取引に関する紛争や、賃貸物件におけるトラブル解決を専門とする窓口もあります。いくつか相談先がありますので、適切な判断や対応をしてもらえるところを探すようにしましょう。
【国土交通省『「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について』】
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html
【国土交通省『「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改定版)のダウンロード』】
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000021.html
【国土交通省『都道府県に関する窓口』】
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000019.html
国土交通省に宅地建物取引業免許登録を行っている業者を管轄する、都道府県ごとの部署です。
【一般社団法人不動産適正取引推進機構】
https://www.retio.or.jp/consul/index.html
不動産取引に関するトラブルの相談窓口です。
【公益財団法人日本賃貸住宅管理協会】
https://www.jpm.jp/consultation/
居住用賃貸物件の取引・管理に関する相談窓口です。
3.不動産の資産価値について知りたいとき(不動産査定と不動産鑑定)
不動産の売却を検討しているなどで、所有している土地や建物の価値を知りたい場合、「不動産査定」と「不動産鑑定」の2種類の方法があります。どんな場面でどちらを利用するのが良いか解説していきます。
(1)不動産査定とは
不動産査定とは、不動産会社が不動産を売買する際に、近隣相場や対象物件の状況等を判断して「売れる価格・売れそうな価格」を算出することです。
一般的には無料で依頼できる場合がほとんどです。そのため、一度に複数の不動産会社に査定してもらい、その中から仲介してもらう業者を決めるという方法も可能です。通常の不動産売買であれば、費用がかからない不動産会社の査定のほうが一般的です。
(2)不動産鑑定とは
不動産鑑定とは、「不動産鑑定士」という不動産評価の専門家に「鑑定評価」を依頼するという方法です。
不動産鑑定の評価は『不動産の鑑定評価に関する法律』に基づいて不動産鑑定士だけが行えるものですので、土地や建物などの不動産の適正な地価、価格などを判断することができます。そのため、金融機関が担保にする不動産の価値を算出する際や、個人間売買、裁判の証拠として必要な場合、また相続・贈与や納税の場面等で利用されます。不動産査定に対し、不動産鑑定の方が正確な不動産の価値を知ることできますが、不動産査定は無料で依頼できることが多いのに対し、不動産鑑定は有料となります。
4.相続や税金についての相談は…
不動産を所有している人にとっては、相続や税金についての悩みや不安は切っても切り離せません。役所への手続きや書類提出など、複雑な法律が絡んでいる場合もあるので、全てを一人で処理をするのはとても大変なことです。調べてみてもいまいちよくわからないと言ったことも少なくありません。その際は、躊躇せず専門家に相談することをおすすめします。行政によっては無料相談を実施している場合もあるので、お住まいの制度を調べてみるのも良いかも知れません。
(1)相続の手続きについて
不動産の相続が発生するときは、司法書士に相談しましょう。
不動産を相続した際には、名義変更するための登記手続きが必要となります。ご自身で行うこともできますが、相続の内容が複雑であったり、古い土地である場合にはイレギュラーが発生することもあり、その場合、多くの書類や手続きが必要となることがあります。司法書士であれば、こうした難しい手続きにも対応できますので、一度ご相談してみてはいかがでしょうか。相談結果によって、ご自身で手続きするか司法書士に手続きを依頼するか検討するのも良いでしょう。
(2)税金について
不動産に関する税金の相談は、管轄の税務署窓口もしくは税理士です。
不動産を購入した時、売却した時、所有している時、様々な場面で税金がかかります。また、それぞれの税金には軽減措置や特別控除などもあり、税額を自分で計算することはとても困難なことです。そのため、税理士の力を借りること検討してみては如何でしょうか。
5.不動産の悩みは迷わず専門家へ
現在は、インターネットですぐに調べることが出来ため、自分で解決できるのでは?と考える人もいると思いますが、実際は、宅地建物取引業法や民法など、様々な法律が複雑に絡み合っているため、かえって状況が悪化してしまったり、損をしてしまう可能性もあります。不動産に関する悩みやトラブルについては、様々な機関が無料相談窓口を設けておりますので、些細なことであっても、自分だけで解決しようとはせず、窓口を上手に活用しながら、最小限のストレスや手間・費用で解決できる方法を探していきましょう。