2024.04.01
コラム
マンションの「管理費」「修繕積立金」とは??
マンションを購入した際、「管理費」と「修繕積立金」を月々支払うことになります。どちらもマンションの資産価値を維持するためには必要な費用となりますが、どのように使われ、そしていくらぐらいが平均的な相場なのかを解説していきます。
1.日常的なメンテナンスに使われる『管理費』
マンションの資産価値を維持するうえで大切なことは、日々のメンテナンスです。特に中古マンションを購入する際は、このメンテナンス(管理)がきちんと行われているかを確認すことがとても重要です。その日々のメンテナンスに必要な費用が『管理費』となります。
(1)管理会社への業務委託費
管理スタッフ(管理人や清掃員など)は管理会社から派遣され、エントランスやゴミ置き場、集会所などの共用施設の清掃や備品管理、設備が故障した際の補修等は、その管理会社のスタッフ(管理人)や専門業者などが行い、その際の費用に充てられます。具体的には、会計業務・清掃業務・セキュリティ(防犯カメラの設置など)・共用部分の光熱費・エレベーター等の設備点検・備品補充などがそれにあたります。快適な暮らすを守るために、管理費は使われます。
(2)管理組合の運営費用
マンションの区分所有者全員で構成される管理組合を運営するための費用(事務作業など)も管理費から賄われます。管理会社のスタッフ(営業担当)も参加する総会や理事会が年に1度必ず開催されます。その総会では、マンションについての予算組みや課題について話し合いがされますが、その際の費用や事務経費の管理などにもこの管理費が使われます。
2.長期的なメンテナンスに使われる『修繕積立金』
例えば、戸建てを購入した場合であっても、10~20年後を見据えて外壁や屋根などのメンテナンス費用を用意しておく必要があります。マンションであっても同様に、外壁や屋上などのメンテナンス必要です。日々のメンテナンスに比べ、大規模な工事となるため、ある時に一括で費用を用意するのではなく、計画的に月々積み立てていくことになります。それが『修繕積立金』です。
管理組合で作成された「長期修繕計画」に則って、修繕金が積み立てられますが、工事の内容や規模等によって、金額に不足が見込まれる場合は、途中で修繕積立金の見直しが行われることもあります。日々のメンテナンスでは賄えない「外壁補修」や「屋上防水」、「給排水設備工事」、「設備の大幅リニューアル」など、工事内容も多岐にわたります。概ね10~20年に1度大規模修繕工事を行うことによって、マンションを良い状態で維持することができるとされています。
また、マンションによっては、新築購入時等に「修繕積立基金」を支払うケースや、定期的に一時金として数十万円を支払う必要があるケースがありますが、それらも同様に大規模修繕工事の費用に使用されます。
3.管理費・修繕積立金はいくらぐらい?
あくまで全国平均ですが、国土交通省が実施した「マンション総合調査」によると、2018年のマンションの『管理費』の平均は下記の通りです。
駐車場使用料等からの充当額を含む:月/戸あたり15,956円(単棟型:16,213円・団地型:14,660円)
駐車場使用料等からの充当額を除く:月/戸あたり10,862円(単棟型:10,970円・団地型:10,419円)
同じく国土交通省が実施した「マンション総合調査」によると2018年のマンションの『修繕積立金』の平均は下記の通りです。
駐車場使用料等からの充当額を含む:月/戸あたり12,268円(単棟型:11,875円・団地型:14,094円)
駐車場使用料等からの充当額を除く:月/戸あたり11,243円(単棟型:11,060円・団地型:12,152円)
マンション総合調査は5年に1度実施され、次回の調査である「令和5年度」分はすでに実施されており、令和6年の4~5月にかけて調査結果が公表される予定です。
また、マンションの管理費・修繕積立金は、マンションの規模や共用施設の充実度によって異なります。結局は、区分所有者全員で、管理費も修繕積立金も賄わないといけないわけですから、極端に戸数の少ないマンションですと、1戸あたりの負担額が大きくなりがちです。
ただ、戸数が多ければ負担額は少なく済むというわけでもなく、階数が高いなど、マンション自体が大規模であれば、修繕工事の費用も大きくなるため、マンションの規模と負担額のバランスが取れているのかが重要となります。
4.マンションの購入を決める前に
マンションの購入を決める前には、と「長期修繕計画書」を「重要事項調査報告書」予め確認することをおすすめします。
(1)長期修繕計画書
長期修繕計画書は、新しいマンションであればほぼ全てのマンションで作成されていると思われます。築古のマンションであっても、長期修繕計画書を作成しているマンションは多く存在します。新築当時は作成されていなくても、途中から作成されているケースもあるので、新築マンションであれば販売業者、中古マンションであれば仲介会社に確認してみると良いでしょう。長期修繕計画書には、大規模修繕の時期、予算、そしてその予算に伴う修繕積立金の推移などが記載されています。計画的に修繕積立金の金額を上げていくケースも多くありますので、自分自身の将来にわたる資金計画においても反映させてみるのも良いと思います。
(2)重要事項調査報告書
重要事項調査報告書は、管理会社により多少呼び方が異なりますが、概ね「重要事項に係る調査報告書」とも呼ばれています。現在の管理費・修繕積立金の金額を確認することができますが、特に注目すべき点は、それぞれの1棟に係る滞納金の総額と、現在積み立てられている修繕積立金の総額、そして直近の修繕状況(履歴)です。
世帯数に対して滞納が多いマンションは、言うまでもなくリスクがあります。十分なメンテナンスが出来ないばかりか、滞納額を回収できない場合、最終的に負担を強いられる可能性もありますので注意が必要です。
大規模修繕工事を行うのに十分な金額を積み立てられているのか、予め確認しておくことも大切です。直近で大規模修繕工事が行われていないにも関わらず、十分な修繕積立金が積み立てられていないのであれば、長期修繕計画がきちんと機能していない可能性があります。その為、大規模修繕工事を行う際、追加で修繕費を徴収されたり、管理組合が金融機関に借入をする場合もあります。金融機関に借入を行うと、当然、返済義務が発生するため、今後の月々の修繕積立金に上乗せされる可能性があります。
また、直近の修繕状況(履歴)を確認することで、マンションがいかにメンテナンスをされているのかを確認することができます。築古のマンションであれば、計画的に大規模修繕が行われているのかいないのか。もし行われていない場合、その理由を知ることで、マンションの状態を垣間見ることが出来ます。
購入前に長期修繕計画書や重要事項説明書を確認することは、マンションの状態や資産価値を推し量る上でも、重要な情報と言えます。