2023.12.25
不動産ニュース
23年都道府県地価調査
国土交通省は9月19日、23年都道府県地価調査(23年7月1日時点の基準地価)を公表しました。全国平均の地価動向は、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率も前年より拡大しました。更に今回は、地方圏で全用途平均及び住宅地が31年ぶり、商業地が4年ぶりに上昇へと転じました。全国的に見れば、三大都市圏や“地方四市”がけん引する傾向に変わりはないものの、その他の地方圏にも地価の回復傾向が波及している様子もうかがえる結果となりました。
全国平均の地価動向は、全用途平均が1.0%上昇(前年比プラス0.7ポイント)、住宅地が0.7%上昇(同プラス0.6ポイント)、商業地が1.5%上昇(同プラス1.0ポイント)。都市部や利便性の高い地域では住宅需要が堅調であり、特に札幌・仙台・広島・福岡の“地方四市”では、各市中心部で地価が大きく上がっていることから、周辺市にも需要と地価上昇が波及しています。
また商業地では、都市部を中心に、オフィス需要が堅調に推移したことに加え、コロナ禍の影響の低下によって人流が戻り店舗等の需要が回復。インバウンドの増加による観光需要の回復や、再開発事業による利便性・繁華性の向上によって、関係する地域での顕著な地価上昇も各地で見られました。
国交省地価調査課は、「新型コロナの影響で弱含んでいた地価は、景気が緩やかに回復する中、三大都市圏を中心に上昇が拡大すると共に、地方も平均で上昇に転じるなど、地価の回復傾向が全国的に進んだ」としています。
今回の基準地価における特徴は、地方圏においても地価の回復傾向が進んだ点です。東京・大阪・名古屋の三大都市圏を除く「地方圏」において、全用途平均(0.3%上昇)及び住宅地(0.1%上昇)は、いずれも31年ぶりの上昇です。商業地(0.5%上昇)も4年ぶりの上昇となりました。
地方圏の地価上昇は、引き続き“地方四市”がけん引していることは確かです。“地方四市”平均は全用途が8.1%上昇(同プラス1.4ポイント)、住宅地が7.5%上昇(同プラス0.9ポイント)、商業地が9.0%上昇(同プラス2.1ポイント)と、三大都市圏と比べても大きく上昇しています。
とはいえ、“地方四市”を除いた「地方圏その他」についても、緩やかながら地価上昇傾向は見られます。商業地は0.1%上昇(前年は0.5%下落)で、32年ぶりに上昇に転じました。全用途平均は上昇率0.0%で横ばい(同0.4%下落)、住宅地は0.2%下落(同0.5%下落)で、いずれも上昇には至らなかったものの下落幅が縮小しています。なお、全用途平均は30年続いた下落から横ばいに転じましたが、これは小数点第二位を四捨五入する統計処理によるもので、厳密には0.006%下落となっています。
都道府県単位で見ると、現在も変動率がプラス(住宅地18、商業地22)よりもマイナス(住宅地28、商業地23)のほうが多いものの、都道府県庁所在地ではプラスが住宅地35、商業地40と、各地域の中心エリアはおおむね上昇傾向にあります。また特殊要因ながら、大手半導体製造企業の拠点が進出した北海道千歳市や熊本県菊陽町では、周辺地域も含め地価の著しい上昇も見られました。「約52%の調査地点では、いまだコロナ禍前の19年の地価を下回っている」(同課)ものの、地方圏も含め、ニーズの高いエリアでは地価の回復傾向が拡大していると言えます。